寅さんのアリア・リリーへ捧げる口上

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忘れな草・リリー


~リリーを楽屋まで送りキャバレーで歌っているリリーの境遇を〈とらや〉で語り嘆く寅さん~

「ああ 俺にふんだんに金があったらなぁ
リリーの夢を叶えてやるのよ
例えばどこかの一流劇場 なっ 歌舞伎座とか国際劇場とか
そんな所を一日中借り切ってよ
アイツに好きなだけ歌を歌わせてやりてぇのよ」


ベルが鳴る 場内がスーッと暗くなるな
皆さま 長らくお待たせをばしました 
ただ今より歌姫 リリー松岡ショーの開幕であります

静かに緞帳が上がるよ スポットライトがパァッと当たってね 
それでね まっ白なドレスを着たリリーがスゥッと立っている

ありゃ~いい女だよ え それでなくても容子がいいしさ 
目だってパチッとしているから派手るんですよ
客席がザワザワザワとしてさ
綺麗ねぇ いい女だなぁ~ あ リリー 待ってました 日本一!

やがてリリーの歌が始まる

♪ひ~とり~さかばで~の~むさ~けは~  ってねぇ

客席はシーンとして水を打ったようだよ みんな聞き入っているからなぁ
お客は泣いていますよ 
リリーの歌は哀しいもんねぇ  やがて歌が終る 

花束 テープ 紙吹雪  わぁ~っと 割れるような拍手喝采だよ
アイツはきっと泣くな  あの大きな目に涙がいっぱいたまってよ
いくら気の強いアイツだって   きっと泣くよ



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男はつらいよ~寅次郎・相合い傘より

・車寅次郎-渥美清
・リリー松岡-浅丘ルリ子

浅丘と渥美の初共演は1973年・第11作~寅次郎・忘れな草です。
冒頭の写真はその初出演時のもので。
海岸で寅さんと共に2人並んで身の上話をする姿です。

リリーこと浅丘ルリ子が山田洋次監督から出演を依頼された時には。
このような設定ではなく全く違った清楚な役柄だったようです。
納得のいかなかった浅丘は監督に頼んで設定を変えてもらいます。

山田監督は札幌の酒場で一人の女性歌手を見つけます。
その姿に「歌いながら旅するリリー」のimageを得たといいます。
浅丘は役柄を気に入り新鮮な気持ちで役に臨んだようです。

渥美清は若い頃に啖呵売り・テキ屋をしています。
経験が遺憾なく発揮されたシリーズ作品というわけです。
滑舌なめらかにして流れるようにマドンナたちを語る。
これをスタッフの間では「寅さんのアリア」と呼んだそうです。

上記の口上は1975年「寅次郎・相合い傘」にあるものです。
(渥美・浅丘。二度目の共演・計4回共演)「寅さんのアリア」と呼ばれるものの中で。
もっとも好きな場面を文字起こししたものです。

山田監督は第50作でシリーズ完結予定だったそうです。
監督の構想ではリリーと寅さんを正式に結婚させる予定がなかったようで。
浅丘が体調の悪化した渥美を見て最後になるかもしれないと心配し。
「リリーと寅さんを結婚させて欲しい」と懇願するのですが・・・

取り合えず。最後となる第48作「紅の花」で寅さんとリリーを同居させています。
なので2人は結ばれた・・・ということで納得しています。
第48作で終了して良かったと思います。
後の2作で寅さんが死んで終わりの設定になっていたようですから。




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