閑話休題~心のタカラモノ
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自分にとっての生きる意味を発見し。
それを得るために努力し達成することは。
「心のタカラモノ」を授かることに繋がる。

それはどんなに叩かれようが。
けして壊れることのない心の強さとなって。
老いても尚大切な誇りとなるだろう。




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Welcoming cat・1-2
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しばらくしてラーメン屋「ひまわり」の玄関が開く。
「ごめんください」
金色の口髭・あご髭をたくわえた背の高い老人が入ってくる。

静かに微笑む顔。黒縁メガネと黒いスーツ姿。
鬼介は来客への言葉を忘れ呆けたように突っ立ったている。
「そこのお嬢ちゃんは何故泣いてるんだね?」

老人は鬼介に向かって小首をかしげる。

「あ・・・。あの。その。この子が勝手に泣き出して・・・」
鬼介は泣いている女の子のそばで頭を搔く。
「やれやれ。それは困ったことですね。さてどうしましょうか?」

老人はすぐ側の席に座って女の子に向き合う。

女の子は老人の顔を見る。
心のなかで叫ぶ。「あ。ケンタッキーのおじさんだ!」
フライドチキンの看板を思い出す。

「ご主人。コップ一杯の水を頂戴できるかね?」

鬼介がお盆にコップを乗せ老人の目の前に置く。
「はい。ありがとう。これで準備完了です」
老人はそう言いながらコップの上に白いハンカチを被せる。

「お嬢ちゃん。これを見てごらん」

老人はタネも仕掛けもありませんとよと言いながら。
ゆっくり手のひらを見せる。
女の子はしゃくり声をあげながら言葉に従う。

鬼介が尋ねる。「で。いったい。何が起こるんですかい?」

ちょうどその時。一人客のが入ってくる。
白い帽子を被り白いワイシャツ姿の若い男性だ。
鬼介はそれに気付かない。

目の前で起こることかしか頭にない。

「では。いきますよ!」老人がサッとハンカチをとる。
「あっ!」女の子と鬼介が奇声をあげる。それも無理はない。
コップの中から見知らぬ蝶が飛び出した。

離れた席に座っている白いワイシャツの若い男が叫ぶ。

「おお!ギフチョウじゃないか!」
翅(はね)を拡げた大きさは7cmぐらいで黄白色と黒の縦じま模様。
後翅の外側に青や橙・赤色の斑紋が並んでいる。

若い男は昆虫採集家らしく。手に採集用の網を持っている。

「こんなところでギフチョウを見られるとは!なんてラッキーなんだ!」
一人はしゃいで網を持ってギフチョウを追いかける。
ギフチョウは男をあざ笑うように素早く身をかわしあらぬ方向へ逃げていく。