絵の話~藤田嗣治
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初めて藤田嗣治の作品を目にしたのは。
下関にある「市立下関美術館」だった。
どのような主旨の展示内容だったか。
細かい記憶はない。

あの日。

美術館に行ったのは藤田の作品が目的ではなかった。
知り合いの画家が個展をするというので。
言わばそのついでに見たようなものだったし。
そもそも藤田の展示会があるなんて思いもしなかった。

ようするに偶然だったのだ。

当時新進画家だった彼の作品は。
1階の展示場に並べられていた。
スケールの大きな画風で。
中近東辺りの人物(群像)がダイナミックに描いてある。
下関は画家の地元でもあり。
自分もまた好きな画家の一人だった。

ひとしきり見て。

藤田嗣治の作品が。
2階に展示されているのを知り上がってみた。
入り口辺りに掛け軸が掛かっている。
藤田の「魚屋の主」を描いた作品だ。

藤田は元々日本画家だから。
水墨画があっても可笑しくない。

その絵は前掛けをした魚屋の姿を正面から描いてあり。
怒ったような顔で何かを睨みつけている。
それを形作るのは一目で藤田だとわかる独特な線と陰。

画面から緊張感がビシビシ伝わってくる。

さて部屋の中へ足を踏み入れると。
F100号サイズの裸婦像が3~4枚掛けられている。
その時の印象はかなり強烈だった。

「静かだが圧倒的な迫力がある」そう思った。

これが所謂「ホンモノ」というものなのだろう。
マヤカシ・ゴマカシ・ハッタリが微塵も感じられない。
思わず溜息がもれた。

これまで藤田の絵は美術雑誌などで見ているが。
もっと軽い感じを想像していた。
しかし眼前にある絵は輝くような乳白色のマチェールとともに。
無言の迫力を放っている。

有無を言わせない圧倒的な技量。
異邦人である藤田が。
フランスで確たる地位を築けたのも納得できる。

作品群を眺め終わり2階から1階へ降りた。
するとどうだろう。
突然。不思議な感覚が自分を襲った。

新進画家の作品が。
「マヤカシ・ゴマカシ・ハッタリ」の。
塊のように見えたのだ。

その画家にすれば至極迷惑だったろう。

藤田は様々な画家が活躍した当時のパリでも。
抜群の人気を博した人物だ。
「世界のフジタ」と比べられては誰しも堪らない。

(目は正直で残酷だ)

以来。藤田嗣治は特別な画家として。
自分の心に住み始めることになった。



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藤田嗣治覚書

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フランス・エコール・ド・パリの代表的画家のひとり。
白磁のような美しい画肌に描かれた裸婦・猫などで人気を博す。
戦時中。日本に戻り戦争画を描く。
戦後パリに再び渡りフランス国籍を取得。キリスト教に帰依し。
レオナール・フジタと改名する。
パブロ・ピカソとは終生変わらぬ友情を温めたと伝えられる。




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アルク~初秋をあるく
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先頃の血液検査で「HgA1c」が5.5から6.0に上昇していることがわかった。
標準値の上限が6.2だから自分としてはかなり問題。
このままだとまた上限値を超えそうだ。これでは同じことの繰り返しだ。

自分では歩いているつもりでも自転車を使ったポタリングのようなものだから。
そのぶん歩く総数が減っていたのだろう。
よし!歩くぞ!と心に誓って。なるべく自転車には乗らないことにした(キッパリ!)

ということで。アルク^^

家の前の道を一歩踏み出すと突風が吹いている。
台風よりは弱いが。それでも身が引きしまるような強さだ。
そんな風の中。眼前に赤とんぼが飛んでいる。

1匹ではない。ざっと20匹はいるだろうか?
あっちへフラフラ。こっちへフラフラ。
祭りに集った群衆のように無軌道な飛び方をしている。

その赤とんぼの下には蜜柑の葉が茂っている。

ピンポン玉ぐらいの青い実を多数付けているが。
その中のひとつに何故かオレンジ色をした実がある。
「わたし。もう食べられますよ」と言っているようだ。

そうですか。食べていいのですね?
(暗黙の了解^^)

その実は従順な子羊の如く男の手に握られる。
さっそく厚い皮を剥かれると。
如何にもそれらしい色をした小粒の姿を現す。

口に含むと。おお!

甘い蜜柑の味が口中に広がるではないか。
早熟といえば早熟。奇形といえば奇形。
自然界は様々な現象を人間に見せるものだ。

踏切を渡り。線路伝いに続く細い道へ入る。

その道の傍には小さな畑があって。柿の木が植えられている。
まだ多くは青い実だが。心なしか薄く黄色い絵の具をかけたような実もある。
どの世界にも「早熟」というのはあるんだな。と一人納得。

細い道を過ぎると無人駅が見えてくる。

その手前に銀色の三輪車に乗ろうとしているベレー帽を被った婆さんがいる。
三輪車は前輪が2本。後輪が1本で逆三角形の形をしている。
その形に興味を覚えて婆さんに尋ねてみる。

「それ乗りやすいですか?^^」

婆さんはニコリと笑って。「乗りやすいけどね。よくコケるんですよ」
「そんなふうに見えないですけど」
「ちょっとした凸凹道があると。すぐにヒックリ返るんです」

そう言って婆さんは坂のところで斜めに自転車を押して見せる。
確かに片方のタイヤが宙に浮いてしまい。これでは如何にもコケそうだ。
「もうね。6月に買ったけど。10回はひっくり返りました^^;」

婆さんが言うには後輪が2本のほうがコケにくいとか。

「それじゃ気を付けて運転してくださいね^^」
と軽く挨拶して。その場を離れる。
婆さんはゆっくりゆっくり自転車をこいで行く。

坂道を上がり市道に出て歩道を歩く。

介護施設のブロック塀に「琉球朝顔」の青紫色の花びらが見える。
夏の終わりを告げるかのように花の数は少ない。
むかし勤めていた介護施設のフェンスにもこの花が植えられていた。
開花期は案外しぶとくて10月頃まで咲いていただろうか?

坂を下って行くと。左にコンビニが見えてくる。
(禁煙前までタバコはいつもここで買っていた)

そう言えば。コンビニを利用することが少なくなった。
完全な自炊生活をしてあちらこちらで買い物をすると。
嫌でもコンビニの商品価格が高いのを知る。

だからここで食パンは買わないし。
他の商品も買わない。買うものといえば「ガリガリ君」ぐらいだ。
(トイレはけっこう利用w)

しばらく歩を進めるとバイク屋さんが見えてくる。

店の前にはカスタムされた大少のバイクが多く陳列されている。
自分はバイク派ではないが。ホンダの「ゴリラ」が好きで。
時期は異なるが2台ほど所有していた事がある。だからと言って。
度々乗っていたかと言うと。そうでもなく。置いて眺めることの方が多かった。

要するにあの形に惚れていたのだった。
(もの好きだよねぇ^^;)

市道沿いの銀行で用事を済ませ。
途中のドラッグストアで買い物をしたあと帰路につく。
その道すがら。
田園前に無花果が横並び植えられている。

無花果にも早熟な奴がいて。
パックリ割れて赤い実を晒しているものがいるではないか。
え?食べてください?空耳だろうか。

ちょっと手を伸ばして熟れた実をもぎ取り。
無造作に口の中にポイと入れる。
う~む。さすがに食べてください!と言うだけあって。
けっこうな味。美味だ。

その無花果とは反対側の場所には小さな畑があり。
時期を過ぎ草臥れはてたミニトマトが。これ以上実を付けるのは無理です。
もう勘弁してくださいよ!と言っている。

やれやれ。諸君らも片付けてやるか。

数個手に取り。口に含む。確かに盛りを過ぎた味。
少し枯れ気味の夏を終えた味がする。
この行為はまるで畑泥棒のように思えるが。そうではない。

ミニトマトのあるべき使命を全うさせているのだ。
(ええ。そうですとも!)

そう考えれば。他にも使命を全うさせてやるべきモノがある。
脳内に「市内の食べられるモノ地図」を描く。
え?まるで計画を練る泥棒のようだと仰るか?

いやいや。これは自分に課せられた使命なのだ。

食われるべきモノが食われずに朽ち果てる。
これほど気の毒なことはない。
ウルトラマンが怪獣を倒し自分の使命を全うするように。
自分も使命を全うしなければならない。
(ああ。課せられた責任は重い!@@;)

そう考えながら。一路我が家へ向かう。




びわ雑炊・補~自動車免許証
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先頃。自動車免許証の更新へ行った。

自動車は運転しないことに決めているので。
もう免許証は要らないが。まぁ~。そこはそれ。
身分証明書代わりにもなるし。
あっても損にはならない。

だから取り合えず更新しておくことにした。

更新場所は市内の警察署でも行われるのだが。
前もって写真の用意が必要で(これが面倒くさいw)
新しい免許証が届くのが3週間後と遅い。

それが某所にある「総合交通センター」へ行けば。
写真もそこで撮ってくれるし。
その日のうちに免許証がもらえる。

なのでこれまでずっとそこで更新をしていた。
当然。今回も同じ場所で講習を受けることにした。
が。市内ではない。自転車で2時間ばかりかかる。

取り合えずサイクリング気分で行ったが。
なかなかどうして自転車の2時間は。
短いような長いような微妙な感じ。
まぁ。良い運動になったことは確かだ。
(むかしは自転車大好き青年だったのだ!)

免許証と言えば。
思い出すのが自動車教習所の2人の教官だ。

そのうちの1人が「苦手な教官」だった。
あの教官だけはダメだった。
隣に座っているだけで緊張して。
まともに運転できなかった。

何せ常にムッツリしている。

それがえらく不遜な態度に見えて。
無言の圧力を受けているようで。
バリバリに萎縮してしまうのだった。

だからこの教官の時は失敗だらけで。
彼が担当の日は憂鬱で仕方なかった。
当の教官から言わせれば。
「さぞや出来の悪い受講生」だったことだろう。

対して。もう1人の年配の教官は話し方が穏やかで。
緊張をほぐすような感じで接してくれる。
だから失敗も少なく安定した気持ちで練習できた。

路上での仮免許を終えた卒検のことだ。
なんとこともあろうに。
「あの苦手な教官」が同席することになったのだ。

案の定カチンコチンに緊張して試験は落ちた。

試験費用も馬鹿にはならず。
「くそ~アイツでなければ!!」
なんて歯がみしたものだ。

2回目の試験は運よく路上コースも同じで。
穏やかなほうの年配の教官だったから。
失敗なく走ることができ無事合格となった。

もし2回目も同じ教官だったら。
やはり失敗して受かることはなかっただろう。
(例え同じコースでもね!)

人と人との間には。
やはり相性というものが大事だと。
つくづく思う。