古いメモ帖~まぼろし夜曲
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・ギシギシ動き始めるゼンマイ仕掛けのまぼろし夜曲


・想い出は猫のあしおと林檎のかをり


・追いかけても追いかけても我は待ち人


・ソーダ水に人魚の姿を見た夏の夜


・飲めぬ酒を口にし眺める先の歪んだガラス


・きみと人生を歩めなかった25年目の春


・春に溶けゆく君さよなら白蛇のうねり


・爛れた皮膚の如き石榴おち妖しく放つ紅の光芒






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びわ雑炊・補~金子みすゞを想う
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金子みすゞは大正時代の童謡詩人として。
今ではすっかり有名になっているから。
これを読んでおられる方もご存知かもしれない。

童謡詩人・金子みすゞを初めて知ったのは。
ある新聞の小さな囲み記事からだった。
「みすゞの詩が発見された」ということと共に。
彼女の詩が紹介されていた。

そこに載っていた詩は。
「大漁」など数編で。それを読んだ瞬間。
自分と感性が似ていると直感。非常な親近感を持った。
僅かな記事内容だったが。
少なからず興奮したことを覚えている。
(時代を越えて友を得た喜び!)

みすゞは山口県大津郡仙崎生まれ。
自分も出生地は違うものの山口県に住んでいるから。
それも親近感を増幅させた原因かもしれない。


「大漁」
朝焼小焼だ 大漁だ 
大羽鰮(おおばいわし)の 大漁だ。
浜は祭りのようだけど
海のなかでは何万の
鰮のとむらいするだろう。



彼女の詩を一言で言えば。
「どんな命にも平等に接する心」ではないかと思う。
それを端的に表現している詩に。
「私と小鳥と鈴と」がある。


「私と小鳥と鈴と」
私が両手をひろげても、
お空はちっとも飛べないが、
飛べる小鳥は私のように、
地面(じべた)を速く走れない。

私が体をゆすっても、
きれいな音はでないけど、
あの鳴る鈴は私のように、
たくさんな唄は知らないよ。

鈴と、小鳥と、それから私、
みんなちがって、みんないい。



みんなちがって、みんないい。
この最後の言葉がいい。人の心を救う。
御仏の慈愛に似ている。


「みんなを好きに」
私は好きになりたいな、
何でもかんでもみいんな。

葱も、トマトも、おさかなも、
残らず好きになりたいな。

うちのおかずは、みいんな、
母さまがおつくりになったもの。

私は好きになりたいな、
誰でもかれでもみいんな。

お医者さんでも、烏でも、
残らず好きになりたいな。

世界のものはみィんな、
神さまがおつくりになったもの。



彼女の人生は26年と短い。詳細は省くが。
彼女は連れ添った夫とうまく行かず離婚した後。
幼い娘の親権を夫に奪われる。

それが生きる意欲を削いだのだろう。
娘を自分の母親に託すよう懇願する遺書を残し。
服毒自殺を図ってしまう。

その死に至るまでの経緯と心情は。
一人の女性として。また母親として。
察するに余りあるものがある。

もし時代が違っていたら。
もし周囲の状況が違っていたら。
まだまだ多くの作品を残しただろう。

「娘という希望」が彼女に詩を書かせたと思うから。