いろ・いろんないろがありまして
カッターシャツ



衣服の色の好みは。
年とともに変って行く。

20代前半は。
草色・灰色・茶色と。
すごく地味だった。

派手な色は不安になるから。
嫌だった。
人見知り・対人恐怖・赤面症。

今思えば地味なそれらの色は。
隠れ蓑・保護色としての役目を。
果たしていたのかもしれない。

20代中盤になり。
黄色いシャツをプレゼントされた。
明るい色が着れるようになった。
多少の恋も経験したから。

それでもなんとなく。
遠慮がちに着ていた。

30代になり。
カッターシャツが定番になった。
いつでもどこでも。
白いカッターシャツにジーンズ。

汚れが目立つの嫌だったが。
洗い立てのカッターシャツの。
匂いが好きだった。

40代になり白は諦めた。
白が似合わないように思えた。

そして現在。

人が変ったように。
何色でも着るようになった。
しかも。
派手な色を選ぶようになった。

赤でもピンクでも。
オレンジでもブルーでも。
何でもあり。

草色は明るいグリーンになり。
灰色は落ち着いたブラックになり。
茶色は眩いオレンジになった。

過去。自分の選んだ服の色には。
その時代その時代の。
自分の心の在り様が見えてくる。




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諸事情がありまして。
2009年より継続しました1年の春1000年の冬。
今回の記事(再掲載)で一旦終了したいと思います。
長い間。夢のような戯言にお付き合いくださり。
まことにありがとうございました。
また再開の気持ちが起きましたら。
その時にはよろしくお願いします。

皆さん。お元気で!!




※相互リンクのサイト様。
 リンクの解除・継続は自由にされてください。
 


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アルク~早春を歩く
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土曜の朝。
疲労感・tensionの低下著しく。
さて?
どうしたものか?と考える。

原因をしばし考えて。

きっとそうだ。
運動不足・野菜不足に違いない。
そう断じる(汗

スーパーへクルマで向かう。

野菜を食べるのに。
いろいろと考えてはいけない。
野菜と言えば野菜炒め。

これしかない。

キャベツ・人参・ニンニク。
もやし・シメジ。
そして砂肝1パックを買う。

砂肝はスーパーのスタッフに。
「安くて美味いよ^^」
と言われて以来のお気に入り。

野菜と共に塩・コショーで炒め。
風味付けに。
少量の醤油を垂らして出来上がり。
豚・牛肉でもいいが。
砂肝のこりこり感・あっさり感がいい。

スーパーから帰り。
買ったものを所定の場所に収め。
すぐに外へ出る。

本日。風は冷たいが。
春を思わせる陽射し。
ぼちぼち歩くにはちょうどいい。

周辺を歩く。

踏み切のない線路を渡り。
田んぼを過ぎると右に畑が見える。
掘立小屋の傍には。
古い自転車が立っている。

あの爺さんが畑仕事に来ているのだ。

爺さんというのは。
隣に住むオレと同じ「独居老人」で^^
今年85歳になる人。

5~6年前から腰がストーンと。
曲がってしまったが。
「まだ子供の世話にならんで済む^^」
と至って元気。

近くに寄ってみると。
爺さんは藁を敷いた畑の上に座り。
畑を眺めながら。
煙草をふかしている。

さして広くない畑には。
キャベツ・ソラマメ。
ホウレンソウ・タマネギ等があって。
小さく風に揺れている。

オレは爺さんに向かって。
こんにちはと言い。
ホウレンソウを指しながら。
昔のホウレンソウは・・・
と話を持ちかける。

「昔のホウレンソウは。
 根元が赤かったですよねぇ。
 スーパーで売っているのは。
 ほとんど赤くないんですけど。
 アレは何ででしょうかね?」

「品種が違うんかもしれんけど。
 若いうちは根元は赤くないんよ。
 年を取ると赤くなる。うちのもそう」

「するとスーパーのは皆若い?」

「さぁ。どうやら?^^;」

話をしながら。
母の茹でたホウレンソウが頭に浮かぶ。
(けして自分の茹でたものではない)
そこにあるのは。
やっぱり緑の葉っぱと赤い根元。

ダラダラと。
野菜の話を続けるうちに。
はたと気付く。

そうだ!歩きに来たのだ!@@;

爺さんに別れを告げて。
ぼちぼち歩く。

市道沿いの舗道を歩けば。
黒いマツダRX-7が信号待ちをしている。
その独特の轟音は。

戦闘態勢に入ってます!@@;
ぼくは行かねばならなんのです!@@;
止めないでください!@@;
とでも言うように。
周囲に緊張を走らせる。

ほっこりとした陽射しは。
そんなRX-7にも差している。

市道から貯水場に向かう。

枯れた葦が点在する貯水場の水面は。
風に煽られ。さざ波を起こし。
そこに光が当たって。
歌うようにきらきらと光っている。

枯れた葦の残骸の上。
甲羅干しをする一匹の亀がいる。

大抵の亀は不審者が通ると。
危険を察知して水中に逃げ込むが。
この亀は逃げないままだ。

小石を拾い。
亀に向かって投げてみる。

小石は亀の手前で。
お辞儀をするようにチャポンと落ちる。
小さな同心円が広がる。

亀は逃げない。

おや?どうしたことだ?
おかしいぞ?

もう一度投げる。
先ほどより大きな石だ。
それでも。

亀は逃げるどころか。
惚けたように細い首を西の空へ向けている。
大きな同心円が虚しく広がる。

口惜しくなってまた放る。

そんなオレに対し。
亀は我関せず泰然自若。
岩の如く動かない。

オレは苦笑し。
亀に負けた気分で頭を掻き。
貯水場を後にする。

細い道を通り。
我が家に向かって踏切のない線路を渡ると。
きゅうに。

ああ。あの亀はと考える。

暖かい陽射しの中で。
うとうとと。
夢でも見ていたろうか?

それとも。

亀の視線の先にある西の空。
遠い異国を思い。
忘我の境地だったろうか?
(ああ。それは例えば竜宮城)

だって春。

亀も夢ぐらい見る季節だろう。





お話~ナポレオン亭の豚
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ナポレオン亭という母と娘が働くだけの。
小さなとんかつ屋があった。

ある日のこと。
そのナポレオン亭に一匹の子豚が飛び込んできた。
丘にある養豚場から逃げてきたようだった。

子豚は狭い店の中を走り廻ったが。
すぐに捕まり麻袋に入れられた。
捕まえたのは店の娘だった。

子豚は袋に入れられる際。
娘の柔らかな手と頬を撫でた長い髪に。
胸がときめいた。

そして思った。

「なんて素敵な人だろう・・・」

子豚は丘の上にある養豚場に連れ戻された。
しかし何日たっても。
娘のことが忘れられなかった。

「おい。ポポなにをぼんやりしているんだ?」

食欲がなくなり。
痩せてしまった子豚ポポに。
声を掛けたのはゴブという子豚だった。 
ゴブはエサを食べながら。
浮かぬ顔のポポに言った。

「お前の気持ちもわかるけど。
 人間の娘に恋をしてどうするんだ? 
 おれたちは養豚場の豚だ。
 ゆくゆくは立派な肉として市場に出て行く。
 市場はおれたちの晴れ舞台だ。
 いい肉になるためには。
 エサをどんどん食わねばならない。
 痩せている場合ではないんだ。
 今のままじゃ不良の肉になっちまう。
 晴れの舞台に立てないぞ?ポポ」

ポポは少し食べては溜め息をつき。
口の中のエサをなかなか飲み込めなかった。

「ゴブは恋をしたことがないから。
 そんなことが言えるんだよ」

「恋ぐらい知ってるよ。
 となりの小屋のカエデさん。
 おれは好きだったんだよ」

「へぇ。あの叔母さん?最近見ないね」

「立派な肉になるために出て行ったんだ。
 別れの日。
 何度も何度も鼻をふって泣いていたなぁ。
 悲しかったなぁ・・・」

ゴブは思い出を振り切るように。
鼻水を流しながら。
ガツガツえさを食った。

「ゴブもつらいことあったんだね。
 でもぼくね。豚のメスはきらい。
 どうも豚みたいで」

「ばか。豚だろ。おれたちは。
 お前は自分が豚だってこと忘れているんじゃないか? 
 いい加減に目をさませ。
 豚だと思わないから。
 人間の娘なんぞに熱をあげるようになるんだ。
 オレと同じ豚・豚・子豚なの。お前は!」

「ぼくはどうも豚じゃないような気がする。
 だからここも嫌い」

ポポは足で鼻をかきながら。
あの娘の所へ行きたい。ここから出て行きたい。
そうゴブに言った。

「やれやれ。
 たぶん逃げても前のように。
 すぐに捕まるだろうが。
 やってみるかい?」

「うんうん。やるやる!」

「それでは夜中に他の豚が寝たら。
 出入り口のところで待っていろよ」

満月が養豚場にかかる頃、
小屋の出入り口に二匹の豚の影があった。

「どうするんだよ?ゴブ」

「いいか。まずおれがお前に空気を送って。
 お前の体を風船玉のようにふくらませる。
 そしたらおれが大声で叫ぶよ。すると飼い主がくるだろう。
 扉が開いた時が勝負だ。お前は扉におしりを向けて、
 思いきり空気をはき出すんだ。
 そうすりゃ鉄砲玉みたいに飛んで行く」

「うんうん。
 でもどうしたら風船玉みたいにふくらむの?」

「こうやって」

「キッスした!」

「何言ってるんだ。お前に空気を入れるんだよ」

ゴブは鼻と鼻をくっつけてブンブンと息を送りはじめた。
ゴブのピンク色の顔がだんだん赤くなった。
ポポのしおれた体は風船のように丸くなっていった。
ポポがまん丸になると。
ゴブはめまいがして倒れそうだった。

「頭がクラクラだよ」

「ウグウグ・ウグウグ」

「よーし。待っていろ、
 今から大きな声を出すからな。
 スー・ハー・スー・ハー」

小屋の中から丸いピンクのかたまりが。
弾けるように月夜に向って飛び出したのは。
それからしばらく経ってからだった。

ポポは満月を横にみながら飛んでいた。

「月がきれいだこと」

渡り鳥に外国語でどこへ行くのか。
尋ねられたが。
返事をする間もなくポポは池に落ちた。

「助けてくれー!アッププ」

カエルがスイスイそばにやって来て。
ぽつりと言った。

「あんたは泳げる。豚は泳げるんだから」

「えっ?
 豚は泳げるかもしれないけど。
 ぼくは泳げないよう。ブブブ」

「豚だと思えば泳げる」

「泳げないよう。プププ」

短い足をバタバタさせ。ブクブク沈んだ。
カエルは信じられないというような顔で見ていたが。
仲間のカエルたちを呼んで岸まで引き上げてくれた。

「助かったぁ。死ぬところだった」

「あんた。自分を豚だと思ってないね? 
 昔いたのよね。あんたみたいなのが・・・」

「ぼくみたいなの?」

「うちの亭主の話。
 昆虫学者になると言って。
 朝から晩までたくさん難しい本を読んで。
 毎日アリの穴を覗いてた・・・」

「それでご主人は?」

「カエルのくせに冬眠するのを忘れてね。
 アリの穴のそばで。
 カラカラになって死んじゃった・・・」

「かわいそうに」

「これからどうするの?」

ポポは娘のことを思いをこめて話した。
カエルは諦めたように言った。

「亭主もいくら言ってもだめだったからね。
 まぁ。せいぜいがんばることだね。
 でもね。うちの亭主みたいになるんじゃないよ。
 あんたはどこまでも豚だ。
 豚・豚・子豚なんだよ。
 それを忘れちゃいけないよ」

「豚・豚。言わないでよ。
 でも助けてくれてありがとう」

 月夜の下をとぼとぼ歩くと灯りが見えてきた。

「やあ。彼女のいる町だぞ。ようやく会えるんだ」

ナポレオン亭はポポの記憶によれば。
橋のそばにあるはずだった。
しばらく川に沿って歩くと、
玄関のガラスに白くナポレオン亭と書かれた家を見つけた。

夜でもあるし店は閉まっている。
いつかのようにいきなり飛び込むということができない。
店の後に廻ると窓があった。
誰か起きているようで明かりが漏れている。

中を覗こうと思ったが背が足りない。
しばらくうろうろしていると窓が開いた。
ポポは驚いて隠れた。

「彼女だ!」

ポポは喜びで全身が震えた。
月の光に照らされた娘の顔は透き通るように白かった。
長い髪を手に巻きつけながら。
何やらもの思いに耽っている。
娘の放つ香りがポポの鼻をくすぐる。

「どうしたんだろう。
 やけに寂しそうな顔をしているな。
 ああ。もっと微笑んでくれたら。
 どんなにいいだろう・・・」

ポポが胸を痛めていると。
娘は酷く咳込んだ。
後ろから母親の声がした。
娘は窓を閉じた。

「風邪でもひいているんだろうか。
 それとも重い病気だろうか。気になるなぁ」

「おい。そこの子豚」

後ろから声がした。
振り返ると黒猫がいた。
偉そうにふんぞり返り。
ポポを睨みつけている。

「すみません。怪しいものじゃないです。
 お嬢さんを見ていただけです。
 ほんとにそれだけです」

「豚がお嬢さんに何の用だ。
 ははん。そんなこと言って。
 お前どろぼうだろう?」

「いえ!違います。
 どろぼう猫って言うぐらいだから。
 あなたこそ怪しい?」

「ばかな。おれはここの店のものだ。
 それに血統書付きの猫だぞ」

「えっ?こちらのお方ですか? 
 それは失礼しました。
 ぼくはポポです。お嬢さんに会いたくて。
 丘の上の養豚場からやって来ました。
 趣味は・・えーと・・鼻そうじで。
 好きな食べものは・・・」

「そこまで聞いてない。
 豚の趣味を聞いてどうするんだよ。
 しかし聞き捨てならんことを言うな。
 お嬢さんに会ってどうしょうと言うのだ?」

「ただ会いたくて会いたくて出てきたのです。
 やましい気持ちは全然持っていません」

「ますます変な豚だな。
 まるでお嬢さんに惚れたような言い草だ」

ポポは思わず顔を真っ赤にして俯いた。
猫はそれを見て腹をかかえて笑った。

「これはおもしろい。
 豚・豚・子豚が。ははははは」

「あの・・笑い過ぎです。
 いい加減にしてください。
 真剣なんです」

「困った豚だな。ははは」

「ひとつだけ聞かせてください。
 お嬢さんは病気なんですか? 
 酷く咳をしていらしたけれど?」

猫は急に笑いをやめて。
深いため息をついた。

「おれも心を痛めているんだ。
 お前の言うようにひと月前からああいう咳が出てな、
 熱もあるらしい。
 だけどお嬢さんが休むと店がやっていけないだろ。
 母親は病院に行けと言っているんだがね」

「かわいそうに。
 ぼくに何かできることはないかなぁ。
 何か役に立ちたいなぁ」

「ありがたい話だけど。
 お前にできることはとんかつになるぐらいしか。
 ないんじゃないのか?」

「たとえ食用の豚でも。
 それ以外のことで役立つことは。
 できるのじゃないでしょうか?
 たとえば・・・」

「たとえば?」

猫は大きなあくびをして目をこすった。

「お店のお手伝いをするとか。
 お嬢さんのお世話とか。いろいろと」

「豚に世話される身にもなれよ。
 たぶん迷惑だぞ。
 やはりここは愛のためにとんかつになって食われろ。
 さあ。夜もだいぶ更けてきた。
 お前も早く家に帰って寝ろ」

猫はあくびをしながら裏口の猫専用のドアをくぐった。
ポポは愛のためにとんかつになってもいいと考えたが。
自分をそんな能のない豚とは認めたくなかった。

ナポレオン亭の玄関にまわって。
月明かりに照らされたガラス戸に自分の姿が映った。
どこからどう見てもただの豚だった。

「豚・豚・子豚かぁ・・・」

ポポはポツリそう呟いて。
玄関側の壁に寄りかかった。

「役に立つためには。
 やっぱり肉になるしかないのかな・・・
 他に方法はないのかな・・・」

うつらうつらしながら。
そう考えていると。
足音が近寄って来るのに気がついた。
足音はナポレオン亭の前で止まった。

見ると黒いズボンをはいた人間の足が。
ひい・ふう・みい・四本あった。
どうも店の中を覗いているらしかった。

「おかしいな。
 どうするつもりだろ?」

四本の足は突然。
玄関のガラス戸を蹴破ると。
ガラスの破片とともに中へ入って行った。
ポポは破片で耳を切った。

「あちちち。たいへんだ!」

ポポは破れたガラス戸から中へ飛び込んだ。
薄明かりの下にテーブルの脚が何本も見えた。
カウンター上のレジがガチャガチャなった。

ポポはその音をめがけて走った。
二本の足が見えた。
思いっきりふくらはぎに噛みついた。

悲鳴をあげて二本の足は転がった。
すると他の二本の足が駆けつけて。
ポポの腹を蹴り上げた。

我慢してこらえたが。
続け様に腹へ何かが刺さり。
するどい痛みが走った。

目がくらみそうになったが。
蹴った足に猛然と噛みついた。
二本の足は床に倒れて転げ回った。

ポポも余りの痛さに床へ倒れた。
倒れると同時に見覚えのある女の足が見えた。
その足はガタガタ震えていた。

遠くにサイレンの音が聞えた。
サイレンの音が店の前で止まった時。
たくましい足がたくさん入って来た。
その足たちは苦しんでいる四本の足をむりやり立たせ。
店の外に連れ出した。

ポポはそれを見届けると気を失った。

気がつくと温かな毛布にくるまれていた。
ポポの頬に長い髪の毛があたった。
顔を上げた。娘の顔があった。

「お嬢さんだ。良かった。
 無事だったんですね。
 ああ。何て言っているんだろか?
 やさしそうな唇だなぁ。
 きれいな瞳に小さなかわいらしい鼻。
 ぼくの鼻とずいぶん違うなぁ」

柔らかな手が背中を撫でた。
ポポは胸がいっぱいになった。

「いつまでもそばにいたいなぁ・・・
 何かの役に立ちたいなぁ・・・」

しかし気が遠くなり。
やがて何も感じなくなった。

翌日。連絡を受けた飼い主が。
ナポレオン亭を訪れた。
飼い主はポポを毛布のまま抱きかかえ。
自分の車に乗せた。

娘と母親は車が走り去るのをいつまでも見送った。

後日。車に乗った飼い主が。
ナポレオン亭の前を通った時のこと。
娘が玄関のガラスを拭いていた。
新しいガラスには白くナポレオン亭と書かれてあった。

それは前と同じだったが。
以前と違うのは文字の下に。
ピンク色の豚の顔が描かれてあることだった。
娘が撫でるように拭くその豚の絵は。
どことなくポポの顔に似ているように見えた。

「いつまでもそばにいたいなぁ・・・
 何かの役に立ちたいなぁ・・・」

あたかもポポの願いが叶えられたように。
豚の顔は明るく笑っていた。




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自分を豚だと思っていない(実は思っているけれど)
認めたくないポポのお話でした。
本来あるべき姿で一生を終えるのが。
生き物として幸せなことだと思います。

何故なら神様がそういうふうに作ったからで。
白い花は白い花でいいように。
自ら赤い花になろうとしなくていいのです。

ところが世の中には夢を見る者もいます。
イカロスの翼を持ちたい者もいるのです。
昆虫学者になろうとしたカエルやポポは。
その仲間のひとりです。

彼らは傍から見ればバカな生き方をしたように見えます。
自分本来のあるべき姿さえ忘れなければ他の仲間と同じように。
安寧に人生を全うできたはずです。

しかし彼らにとってはとても自然なことでした。
夢の中でしか彼らは生きていくことができなかったからです。
確かに彼らの行動は愚かでしたが。
作者は単に愚かだったとは思いません。
むしろ悩みながらよく戦ったと共感してしまうのです。
(作者は彼らに似ているのです)

豚としての生き方を拒否したポポは。
運悪く不幸な死に方をしました。
でも豚の絵として生まれ変わって店の看板になり。
ナポレオン亭にいることが出来ました。

彼はとても喜んでいると思います。
夢を見ていたポポにとって。
一番ふさわしい場所を見つけたのですから。