アルク~晩秋sketch
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紫式部



連日冷たい小雨が降り。
歩く気持ちも萎えるこの頃にあって。
珍しく今日は良い天気。

空に雲は多いけれど。
大方は澄んだ青空が支配して。
暖かい陽射しを送っている。

市道を歩けば。

街路樹の銀杏は。
黄色い衣服をすっかり脱いで。
ほぼ裸木に近く。
荒れた表皮に光が当たっている。

それに引き換え。

町工場にある桜は。
未だに赤い葉っぱを身に付けて。
秋の名残りを惜しむよう。

市道から左に折れる。

そこは貯水場へ続く細い道で。
左を見れば。
草木の繁った休閑地がある。

枯れていく葦。
茶色になったセイタカアワダチソウ。
蒲の穂は萎えて。
野ばらの赤い実が絡んでいる。

それらの間から。

ムラサキシキブの枝が。
こちらへ向かって伸びている。
葉はすべて落ち。
紫の実だけが付いている。

その実は可憐。

花の名前に疎いにも関わらず。
ムラサキシキブを忘れないのは。
実の愛らしさもそうだが。
紫式部と名前が同じだからで。
さて彼女も。
こんな愛らしい人だったか?

紫式部は語る。

「清少納言こそ したり顔にいみじうはべりける人
 さばかりさかしだち 真名書き散らしてはべるほども
 よく見れば まだいと足らぬこと多かり」

現代語訳(waravinoふう)

「清少納言ってさぁ。
 物知り顔で。
 わかってもいないのに。
 難しい漢字とか並べちゃってさぁ。
 嫌~ねぇ。ほ~っほほほ!」

怖っ!!@@;

そんな叔母さんと。
同じ名前を冠したムラサキシキブの実に。
嫌味な点は欠片もない(汗

貯水場の前を通る。

澱んだ水面には。
数カ所ほど葦が繁って点在し。
「浮き島」のように見える。

そこに亀がいる。
亀は短い秋の陽射しを浴びながら。
呑気そうに甲羅を干している。

何かと鈍そうな亀は。
実は兎に負けず劣らず。
敏感な生き物のようで。

遠くにいるオレを。
見つけるや否や。
素早く水中に潜り込む。

これは注意力がなければ。
自然界では生きていけないんですよ!!
という証しのような行為だ。

思えば。

注意力散漫・集中力続かずのオレが。
人間界において。
生き難く思っているのも無理のない話?

はあ~T-T

細い道を抜け。
我が家へ続く道に出る。

頭上を見上げる。
街を呑みこむような。
巨大な雲が。
三つ浮かんでいる。

手を伸ばせば。
触れそうなぐらいに近い。

山頂であれば。
このような感じで見る事もあるだろうが。
街中では余り記憶にない。

周囲は白く中央は灰色。
同じ灰色でも。
雨雲のような陰険さはない。

昔は雲の中に。
風神・雷神がいて。
天候を左右させていた。

「おう。雷神の^^
 近頃ゴロゴロさせてねぇけど。
 そろそろやっちゃ~どうだ?
 オレは先月・先々月と吹きまくったから。
 疲れちまったけど^^」

「それがですねぇ。
 以前はよくお腹を壊して。
 ゴロゴロしていましたけど。
 最近。調子がよくて。
 ゴロゴロ鳴らないんですよ^0^」

「腹を壊さねぇと。
 仕事になんねぇのかっ!!^^;」

@@;

そんな事を考えながら。
ずっとずっと見上げていると。
世間を忘れるようだ(汗

そして。
うう。
首が痛くなる@@;

向うからクルマが来る。
オレは首をコキコキさせて。
クルマを避ける。

避けた先に。
我が家が見える。

 
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アルク~自転車に乗って・秋
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日曜日の朝。
最後の煙草を吸い終えて。
ローソンへ行く。

もちろん。
新たな煙草を買うためで。
歩くのもちょっとね^^;
ということで。

古い友人でもある自転車に跨る。
(20年来の付き合いだw)

空は薄曇り。

前方に見えてきたのは。
斜めに走った線路。
オレの気が引き締まる。

一瞬の緊張。

自然とそうなるのは。
以前。
タイヤがレールにハマり。
哀れにも。
転倒した経験があるからで(汗

慎重に慎重に微速前進。

レールに対し。
タイヤが直角に入っているのを。
確認しながら渡る(汗

無事通過。ほっ。

踏切は自転車から降りて。
押して渡るのが正しい。
ならば。
降りて歩けばいいモノを・・・

それはわかっている(汗

自転車は不思議な乗りモノだ。
一度サドルに座ると。
何故か降りたくない(汗

踏切を越え。
細い道をす~っと抜けて。
大学通りの。
銀杏並木に出る。

銀杏を見上げれば。
葉はライムイエローに透けて。
(透けている筈はない)
切小細工のよう。

ローソンに着く。

煙草を購入後。
ここでは野菜・果物を売っているので。
今日の出物を確認する。

柿がある。

紡錘状で四カ所ほど。
縦に凹んだ筋が入っている。
名前は・・・
何だっけ何だっけ?@@;

ま・いいかw

柿をひとつ手に取って。
店員に渡す。
店員は商品目録を見るが。
値段がわからない。
(どうせ100円だ!)

「店長~!柿いくらですか~?!」

「100円!」

それにしてもだ。
しょぼくれた柿ひとつ。
100円は高いだろう。

オレが店長なら50円って所だ。
近所には。
タダの柿もある季節なのだw

店を出る。

自転車を押しながら。
皮ごと柿を齧る。
甘い汁が口内を襲う。

ドンくさい味と思っていたら。
なんとまぁ。
柔らかくて美味いこと!!@@;

100円でも許そう(汗

再び銀杏並木を通る。
今度は自転車を押しながら。
落ち葉を踏む。

すると。
銀杏と一緒に植えてある背の低いツツジの根元に。
キノコを発見する。

ひ~ふ~み~。よっつある。

一番奥には。
土色の傘を閉じた如何にも。
キノコらしい奴がいて。

手前へ行くに従って。
傘はだんだん平たくなり。
土色の部分が割れて白くなっている。
一番手前など。
まっ平ら・真っ白だ。
(直径10cmぐらい?)

食えるか?!@@;

キノコを見れば。
すぐにそう思うオレは。
天然のgourmet^^

傘が開き過ぎたのは。
マズそうだから。
一番奥のキノコらしい奴に。
手を伸ばす。

キノコはギクリとしているに違いない。

「ハ・ハゲのおっさんが・・
 助けて~!@@;」

「いいではないか。
 いいではないか。
 近こう寄れw
 近こう寄れw」
 
しかし。

「へへへ。旦那。
 無体な事をしちゃ~いけませんぜw
 なんなら。
 あっしがお相手しましょうか?w」
(風車の弥七ふう)

ツツジの枝が邪魔をする。
手が。
届かない届かない届かない・・・orz

何アレ?
年寄りが怪訝な顔をして。
背後を通る。

オレは取るのを諦め。
膝を上げ。
少し顔を赤らめて(汗

我が家へと向かう。



うどんを食う
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久し振りに。
川沿いにある馴染みの。
うどん屋を訪ねる。

店構えは。
お世辞にも立派だとは言い難く。
大きな看板と玄関横の招き猫がなければ。
ただの廃屋にしか見えない。

店内に入ると。
見慣れたカウンターがあり。
奥に北斎の描いた「提灯お化け」のような。
大きなクリーム色の提灯が。
でろりと垂れている。

店の奥さんが出てくる。
相変わらず。
丸顔で愛想がいい。

「久し振りですねぇ~^^」

そう言いながら。
丸い鼻を。
クシュクシュさせる。

「エアコンなんかの風に当たると。
 急に鼻水が出るんですよw」

「あ~それはオレもなりますよ。
 だからクルマに乗っても。
 エアコンは使ったことがないです。
 使うのは雨降りの時だけw」

「あははは。それで今日は何にします?」

カウンター奥のメニューを見る。
きつねうどん・肉うどん。
どちらにするか迷った挙句。

「きつねうどん^^」

少年ジャンプを手にとって。
カウンターに座る。
見るのは「こち亀」だけ。

水戸黄門・フーテンの寅さんは。
終わってしまったが。
「こち亀」は未だに健闘中w
(なんだか嬉しい)

うどんが運ばれてくる。

丼の中を見れば。
四つに切られた大きな油揚げ。
楕円形の鳴門の蒲鉾。
横にすーっと置かれたとろろ昆布。
そして。
手打ちの麺にネギ少々。

木製のさじで。
多めに唐辛子を掬って。
うどんにかける。

油揚げの味は。
よくある醤油たっぷりではなく。
程良い薄味。

麺は少し細めで。
これは手早く湯掻くのに。
都合がいいからか?

柔らかくて腰のある麺は。
量が多過ぎて。
食べきれない人もいるほどだ。

この味が食べたくて。
昔は度々訪れた。
あの頃は食欲も旺盛だったから。
うどんの他に。
おにぎりを注文していた。
それも二つ。

当時を想い出し。
おにぎりを一個~と言おうとしたが。
思い直したのは。
やはり歳のせいだろうw

食べながら。
ああ。しまった。肉うどんの方が。
よかったと思う。

何故なら。

肉うどんには。
油揚げも少し入っているからだっ!
(お得感が嬉しいw)

雑誌を置いて新聞を広げる。
「茶の石鹸でアレルギー云々」の記事。
その話題を奥さんに振る。

「ああ。それねぇ。
 以前はCMやっていたけど。
 今はなくなったの。
 どこも大変ねぇ」

茶の石鹸・・・
普通の石鹸じゃダメなんですか?
(とある議員ふう@@;)

貰いものの石鹸で済ませている自分には。
どうもこの手の商売がわからない。
(安くて使用に耐えれば文句ないしw)

残りの汁を飲み終えて箸を置く。

650円也の代金を払い。
うどんの温かさと唐辛子のせい?で。
汗ばんだ頭を掻く。

「あ~久し振りに食べました^^」

「ほんとね~。
 また来てくださいね~^^」

オレは奥さんに一礼し。
引き戸を開け。
秋の日差しが眩しい外へ出る。




アルク~秋の実
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エミール・ガレ



冷えた朝。
踏切のない線路を渡ると。
田んぼが見える。

田んぼの稲株は。
尖った青々しい葉を。
空に向けている。

畦道を歩く。

朝露に濡れた畦に。
オオバコ・仏の座。
左を見れば。
白い穂のススキと数珠玉草。

どこからか。
少女の唄う数え唄が。
聞こえてくる・・・

一かけ 二かけて 三かけて
四かけて 五かけて 橋をかけ
橋の欄干 手を腰に
はるか向こうを 眺むれば
十七八の ねえさんが
片手に花持ち 線香持ち
ねえさんねえさん どこ行くの~

けれど残念ながら。
数珠玉草の実は。
お手玉に少々数が足らない。
髪の少ない中年男ふう。
(冷たい風が頭を通り過ぎていく・・T-T)

畦道を過ぎる。

民家の塀から。
葡萄のような葉っぱが覗き。
小さな実を垂らす。

宝石のような赤紫・青紫の実。

コトコトコットン。
美しい実で指輪を作り。
幻の彼女に贈る。

「今のぼくにはこれしか・・・T-T」

彼女は裸電球に向かって。
指輪をかざす。
白い頬に一筋の涙。

「きれい・・・T-T」

コケコッコ~~~!!

@@;

時ならぬ鶏の鳴き声。
近所の鶏だ。
麗しい幻影は儚く消える。

畑がある。

畑には。
里芋の葉・大根の葉。
麦わら帽子を被った青い作業服の老人。

ああ。

オレも土を友にして。
余世を送りたい。
晴耕雨読が。
若い頃からの夢だった。

なのに。
今は空を友にして生きている。
どういうわけだ!
(浮ついた人生・空々しい人生T-T)

ブワ~~ワ~~!!

@@;

渡って来た線路に。
山吹色の電車が通る。
二車両。
一瞬朝日に照らされ。
金色に光り去っていく。

畑を過ぎる。

雑木林にポプラ。
ポプラは赤く黄色く枯れ。
落葉は淡い黄土色。
踏まれてカサコソ。
秋の音。

市道に出る。

民家の庭に赤い実のセンリョウ。
枝に留まった雀がちゅんちゅん鳴いて。
(心なしか雀の毛肌が締まって見える)
せわしなく尻尾と頭を振る。

その傍には。

黄色いエンゼルストランペット。
重さに耐えかね。
大きな花をだらりと下に向けている。

花を手に取り中を覗けば。
一匹の羽虫が現れて。
空に向かって飛んで行く@@;

空は曇天・薄曇り・鉛色。

其処彼処で。
秋は秋らしい色を見せ。
それと同時に。
冬になる準備を始めている。

オレは銀杏の葉を。
1枚拾い上げ。
変わり映えのしない我が家へと帰る。



絵の話~波長・アンドリュー・ワイエス
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「クリスティーナの世界」アンドリュー・ワイエス




アメリカ合衆国に好きな画家が二人いる。
ノーマン・ロックウェル(Norman Rockwell)と。
アンドリュー・ワイエス(Andrew Wyeth)だ。

ノーマン・ロックウェル(Norman Rockwell)

アメリカを代表するイラストレーター。
半世紀近くに渡り週刊誌の表紙を手掛け。
アメリカ人の日常生活における哀歓を描く。
品の良いユーモアと鋭い社会風刺で知られる。

初めて見たのは20歳ぐらいの時。
気の利いた温かなユーモアがあり。
親しみの持てる画風が好きだった。

アンドリュー・ワイエス(Andrew Wyeth)

父親はイラストレーター・息子は画家。
親子三代に渡って絵を生業にしている。
幼い頃から病弱だったため。
ほとんど学校に行かず絵は父親から習得した。
テンペラ技法により身近な風景・人物を描く。
写実でありながら幻影を抱えているようでもあり。
哀愁を帯びた精神性の高い作風。

彼を知ったのは。
中学校の美術の教科書だったと思う。
代表作「クリスティーナの世界」に見られるように。
彼の作品は静かだ。

しかし静かなままではない。
ピンと張りつめた水面に。
小石を投げ入れたような趣きがある。
無駄なお喋りがなく。
代わりに「沈黙の主張」があるといった感じ。

彼の作品は。
どれもがそんな気配に満ちていて。
それが気高い精神性を。
感じさせる要因のひとつにもなっている。

初めて見た時から何十年と経っている。
だから彼はとっくに。
鬼籍に入っているものと思っていた。

改めて調べてみると。
亡くなったのが2009年だという。
ついこの間ではないか?

90歳以上の長命だ。
子供の頃から病弱だったと言うから。
まさに一病息災。

90歳以上の長命の画家と言えば。
ピカソや葛飾北斎がいる。
二人の画家(北斎は画工と言っている)は。
夥しい作品の量と内容を残しており。
それを見る限りエネルギーに満ち溢れ。
野獣の咆哮を聞くようだ。
まさに強烈~という言葉が二人には相応しい。

それに対して。
ワイエスはどうか?

エネルギーは外に向かわず。
内へ内へ行こうとする。
それはあたかも宇宙へ旅立つ知的な。
宇宙飛行士を見るようで。
作品は行った先での実験の成果だろうか?
(版画家・浜口陽三にも同じものを感じる)

これら長命だった三人の画家の中で。
一番波長の合いそうなのが。
やはりワイエスで(もちろん絵の中で)
黙って話を聞いてくれるような。
そんな気がする。

他の二人は頑固親父のように見えて。
「あの~相談が・・・」
「今忙しい!向うへ行っとれ!このバカタレが!」
・・なんて言われそうで少々オッカナイ(汗

美術の歴史に天才・名人・上手は多い。
しかしそのすべてが。
自分に波長が合うとは限らない。

「波長の合う画家」は限られるものだ。

アンドリュー・ワイエスは。
自分にとって。
そんな数少ない画家のひとりだ。