思い出の置き場所
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ほっ 油彩F4



回顧展開催。

まぁ。いつも傍に置いて。
埃を被っているから。
たまには。
陽の目を見せようか?
とうことで。
4月の中旬から某所で。
展示している。

事の始まりは。
某所である画廊喫茶で(これでは某所ではないなw
去年の暮に。
なんとなく「やりましょうかね」
と。言ってしまったことによる。

後で。しまった!
と思わなかったわけでもなく。
今更。オレの絵を見てもらってもなぁ~。
という想いがどこかしらある。

だから案内状とか。
人に伝えるとか。
まったくせずに。

偶然。そこへ来た人が。
見てくれればいいと思っている。

考えてみれば偶然。
という言葉が昔から好きだ。
この積み重ねで。
今に至っているような気がする。

絵作りもそう。

偶然引いた線を面白く感じ。
そこからimageを広げ。
作品とすることが多かった。

さて今回15年振りで。
作品を飾ったのだけど。
どう展示をすれば場所に相応しいのか。
さっぱりわからなかった。

そこで小型の作品を多めに持って行き。
画廊喫茶のTさんと知り合いのM氏に。
配列するべき作品を決めてもらった。

これはオレにとって初めての経験だ。
これまでは。
すべて自分のきっちり決まったimageで。
展示してきたものだ。

「こうでなければならない」

それはそれは神経質に。
こうであるから。
こうあるべき。
そういう意見を持っていた。

だが。
今はどうでもいいw
いいのか?これで?
と思うが。
ないのだから仕方がない。

実際の展示は早かった。


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M氏は配列を決めると。
手早く飾り付けるし。
こちらも昔取った杵柄で。
適当に飾っているように見えて。
ほとんどブレがない。

そういう感覚が。
無くなっていなかったのが。
妙に嬉しかった?w

展示した作品は。
かつてブログでも紹介した作品ばかり。
しかも「ラクガキ系」ばかりとなった。

これはTさんとM氏の意見も。
そうだったのだが。
額を使用せず。
キャンバスのみの展示(周囲に白テープのみ)では。
簡潔に描いた「ラクガキ系」が。
映えるようだったのだ。

額があれば。
「まんが系」もイケたと思うが。
今更。高価な額縁を使用しても。
という気が自分の中にあるw

展示は1時間ほどで片付いた。

画廊喫茶の片隅にTさんから。
いただいた小型のスケッチブックを。
芳名帖の代わりに置いた。

画廊喫茶としては。
新聞だとかに載せてもらって。
それでお客さんに来てもらいたいはず。
期間中。
本人はいないしw

わかってはいるが。
そこは我儘を通させてもらった。
自分の「作品という思い出」を。
偶然。
誰かに見てもらえればいいだけだから。
(相変わらず。いい迷惑ですな;)




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アルク~ひかりにそって
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午後4時半。
ずいぶん陽が長くなった。
空は青いままだ。

それでも。
陽は西に傾いているから。
やはり空気は。
黄昏のそれだ。

久し振りに近所の。
古い家並みの中を歩く。

そこは迷路のように入り組んで。
普段通らないから。
初めて歩くような気分になる。

そうして。
あてどなくぶらつき始める。
すると。
右手に園芸店が見えてくる。
店の表の看板には。
種屋と書いてあるから。
種の販売が主なのだろう。

婆さんと孫が。
壊れそうなその店から出てくる。
孫は鉢植えの花を持っている。

店主である腰の曲がった爺さんの。
見送りの言葉を受ける。

「しっかり持ってないと。
 落としたら割れるよ~。
 気を付けてね~!」

「ダイジョウブだって!」

口をとがらせて。
孫は婆さんと一緒にクルマに。
乗り込む。

花。

そう言えば。
花が至る所に咲いている。

黄色のフリージアが。
ぐるりと囲む畑の中には。
白い花を付けたスィトピーが揺れ。
隣には詰め込んだように。
ぎっしりと菜の花が咲いている。

もうひとつ隣には。
丈夫そうなソラマメの葉が。
せわしなく茂っている。

それを見やりながら。
過ぎれば。
今度は一群れの白いマーガレットが。
シロップを零したように。
家の庭先に咲いている。

空き地には。
薄い紫の花が一塊あって。
薄緑色の太い茎の上に。
菖蒲に似た花を付け。
周囲に広がる雑草を。
従えるようにして咲いている。

家の両角には。
紅白の八重桜。
といっても。
正確に言えば赤は濃い目のピンクで。
白は緑がかっている。

そうするうちに。
道がどんどん。
わからなくなる。

わからなくなるけれど。
所詮。
歩けば知ったどこかに。
出るはずで。
やがて。
道なりに歩くと。
見知った坂道に出る。

左に児童公園があり。
子供等の遊ぶ声がする。
一輪車に乗った女の子が。
前のめりに倒れる。

運動神経よろしく。
軽やかに着地し。
再び挑もうとする元気の良さ。

坂道を下って行くと。
細い川に出る。
橋を渡り。
川沿いの細い道を歩く。

目の前にポニーテールの少女。
小さな白い犬を連れている。

犬の尻尾が。
ポニーテールと同じリズムで。
左右に円を描く様に揺れる。

それが妙に可笑しくて。
こちらも同じ歩調で歩く様になる。
惜しいかな。
少女は右に折れて。
家並みへ続く阪道を下る。

こちらは。
左に折れて橋を渡り。
我が家に向かって歩く。

やがて。
いつもの大きな道に出る。
舗道には。
若葉の付いた2本の雑木。

そして。

その背後には鉄道があり。
彼方の山に向かい。
緩いカーブになって。
伸びている。

レールは夕陽に照らされ。
滑るように。
眩しく白く光っている。

その光に沿って歩けば。
まるで希望・幸福が。
待っているかのような。

そんな気がして。



アルク~昼下がりのジョージア
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ジョージアを持って。
川の傍を歩けば。
心地よい陽射し。

細い桜木は。
花を少しだけ残して。
大方は散っている。

細い枝には。
小さな若葉がつぶやくように。
付いている。

川は満潮らしく。
不透明な。
というよりも。
不愉快な深緑色の。
濁った水を湛えている。

その水面にも。
陽射しが当たっているが。
受けた光を鈍く反射させるだけで。
きらきらとした輝きはない。

それはまるで。
獲物を捉えて離さない食虫植物のように。
川底へ。川底へと。
光を吸い込んでいるように見える。

その川沿いを真っすぐ歩く。

正面には緑色をした橋があり。
日曜日の。
のんびりとした運転のクルマが。
通り過ぎている。

橋の手前で左に折れる。

閑散とした鉄工所を過ぎると。
さして広くない敷地に。
無花果の木が。
10本ばかり植えられている。

葉のない枝は。
きっちりと低く切り揃えられ。
まぶしい夏に。
向かおうとしている。

そこを過ぎると。
左に溝を従えた舗道がある。

その溝はお世辞にも。
きれいとは言い難く。

緑藻が浮かんだ水は。
動くのを拒んで。
どんよりとしているだけだ。

ただどういうわけか。
桜の木は付近に見えないが。
白んだ桜の花びらが。
溝に蓋をするようにして。
無数に散っている。

やはり水は流れているのだろうか。

その溝を見ていると。
傍らに。
小さな菫が咲いているのに。
気付く。

菫は五つばかりの。
花をつけ。
小さいながら。
独立自尊の風体。

そう思って見れば。

菫の他にも。
縁石の隙間からは芝のような。
植物が顔を覗かせ。
小さな白い花を咲かせている。

またその近くには。
和蒲公英が。
痩せ我慢でもするように。
低く咲いている。

それぞれが。
それぞれの想いで。
咲いているに違いない。

そうに違いないが。
けして声にして。
自分を出しはしない。

ただ咲いて。
あるだけだ。
ただそれだけだ。

だが。今。
こうして見ると。
その在り方が。
えらく尊いような。
そんな気がする。

そう考えながら。
残ったジョージアを口に含み。
オレはそこを抜けた。




スケッチ~春風景
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見上げると。

川土手には桜の木があって。
やわらかな午前中の光を浴びて。
風に花を散らしている。

誘われるようにして。
川土手に上がると。
眼下に緑の河川敷がある。

そこを歩いて。
水量の少ない川を覗く。

川幅は確かに広いけれど。
なんのことはない。
ほとんど草木の繁る中州ばかり。

穏やかな水面は。
春の光を照らしながら。
静かに静かに流れている。

川に向かって足を投げ。
腰を下ろし正面を見る。

そこには。
なだらかな山が横たわり。
所々に桜の花が見える。

麓には赤い屋根瓦が連なり。
その前を呑気そうに。
軽トラがトコトコ走っていく。

顔を左に向けると。

黄色い花に。
根元を囲まれた桜の木があって。
その先には。
黒ずんだ昔風の。
セメント造りの橋が掛かっている。

橋を渡った先には。
明治以来の醤油作りの工場があって。
橋と同じく黒ずんだ色をしている。

だからといって。

それらは少しも暗い調子ではなく。
青い空と明るい日差しの中にあって。
むしろ全体の風景を。
きゅっと引き締める役割を。
果たしているように思える。

顔を右に向けると。

上空に三つの。
こんもりとした雲が流れている。
さてコッペパンというのは。
こういう形をしていたんじゃないか?
などと。
食い意地の強い連想が働く。

雲は。
ゆっくり形を崩しながら。
右へ右へと流れて行く。

その雲の間から。
一羽の。
アオサギが飛行してくる。

翼を広げたまま固定し。
グライダーのように。
目の前を過ぎ去って。
左眼下にある草の繁った中洲に降りる。

魚は目には見えないが。
きれいな水面は。
魚が跳ねるようにキラキラした光を。
反射させている。

ぼんやり煙草を吸う。

その煙は。
微風に押し流されて。
すぐに消えていく。

時間が過ぎて行く。
だけれども。
時間が経っていない様にも思える。

春の空気の中に。
すべての時間が溶け込んで。
ゆっくり。
ゆっくり。
眼前の穏やかな川のように。
流れている。





オモイデタチキリソウ~さくら
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桜の花の下にいると。
あの人のことが。
いつも頭に浮かぶ。

「桜はこんなふうに咲くのよ」と。
メモ紙に。
蕾と花びらを描いたあの人のことだ。

「桜のある家に住みたい」と言い。
自分のことを「さくら」と。
人に呼ばせるほど桜が好きだった。

そして。

あの人を思い出すと。
同時に。
自分の中に悔恨が生じ。

どうして。
あの時。
あんなことを言ったのだろう。

どうして。
もっとやさしくできなかったろう。
と考える。

すると。

「なんたって手遅れですよ。
 旦那。ははは~」

笑いながら。
桜の木の背後から。
現れたのは。
もう一人の自分。

「旦那はねぇ。
 ほんとは何もかも。
 知っていたはずじゃなかったですかい?
 だって。あんたは独りが好きだもの。
 ははは~」

「そうか?」

「そうですとも。
 あっしはよ~く知ってますよ。
 もうね。
 それは刷り込まれているんですよ。
 遠い遠い昔。
 旦那がまだ自分を知らない時から・・」

「まるでオレの過去を。
 見て来たような話じゃないか?」

「そうそう。
 あっしはずっと見て来たんですよ。
 旦那が生まれる前からね。
 ずっと傍にいたんですよ。
 ははは~」

「それじゃあ。
 あんたは。
 オレの行く末を知っているわけか?」

「旦那だって。
 ほんとは見えてるんじゃないですか?
 あれを御覧なさいよ」

もう一人の自分が。
指さしたのは。
風に揺れる菜の花。

「あれが未来?」

「そうですそうです。
 あれが旦那の未来の姿さね。
 春には桜ばかりが咲くのじゃなくて。
 菜の花が咲いて。
 蒲公英が咲いて。
 あんたの好きな柳は若葉を付ける。
 それが旦那の未来さね。
 ははは~」

「どうにも。
 話が飲み込めない」

「知っているくせに。
 ははは~」

そうして。

もう一人の自分は。
陽炎のように。
桜の花に吸い込まれていった。

春は始まったばかり。