心のスケッチ・ボクハ函二ナッタ
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ボクハ函二ナッタ。

ボクは箱になった。箱になるのは必然だった。
そうでなければボクは立ち位置の安定を得られず。
風に飛ばされ人に小突かれ倒れるからだ。

ボクは箱だから。口も鼻もなく首もなければ手も足もない。
身体は折り曲げられず不自由この上ない。
だけれど。目はある。目があるから周囲の様子を観察できる。

子供がボクを指さして笑っている。何故だろう?
連れ添った母親も口を押えて笑っている。
父親がそれを咎めるように二人の手を掴み足早に去る。

ボクは口がないから。問いかけができない。
笑うのは何故?ボクは考える。ずいぶん考えたが答えが出ない。
するとまたボクの前を人が通る。やはり口を開けて笑う。

「なにをバカなことを書いてるんだ!」
その人は大きな声で笑いだした。毒を含んだ嫌な笑い声だ。
どうやらボク。つまり箱には何かが書かれているらしい。

そして。次から次へ人が通り過ぎ。誰もがボクを見て笑う。

なんて書いてあるんだろう?でもそれを知ることができない。
ボクはボクの体を見ることができないからだ。
やがて笑われることに慣れる。同時にボクは不機嫌になる。

ボクはそれを振り払うように空を見る。蒼い空に小さな白い雲。
雲を見ているうちにボクは箱であることを忘れる。
箱であるボクはただの目になり。目は雲に変わってゆく。

雲はじっとしているようで。静かに静かに西へ流れていく。
少しづつ変化していく。それは雲自身が消えてゆく姿でもある。
雲はやがて霧散する。雲になっていたボクの目も消える。

消えるとボクは平常に戻っている。

ボクハ函二ナッタ。 ボクハ函二ナッタ。
ボクハ函二ナッタノダ。 ボクの必然で箱になったのだ。誰のせいでもない。
ボクの体に何が書かれているかは知らない。

ボクはボクとして立っているだけだ。





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スケッチ~風に向かう少女
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スーパーで必要最低限の野菜を購入し。
寒風の吹きすさぶ外へ出る。
緑色のリュックを背負い自転車に乗る。

すると目の前の舗道に少女が立っている。

少女はセーラー服に紺色のセーターを羽織っている。
ショートカットの髪が風で乱れる。
背が高く発育の良い中学生か。あるいは高校生に見える。

少女は舗道の前方を見つめている。
八の字に足を踏ん張り。両手拳をぐっと握りしめたままで
何かに歯向かっているようだ。

彼女の廻りの空気がおかしな雰囲気を醸し出している。

反対側の舗道に渡ろうとして。
漠然とクルマが通り過ぎるのを待っていると思ったが。
クルマが過ぎ去っても渡るわけではない。

ただ前方の一点を見つめているだけだ。

彼女の横を通り過ぎる時に。
「どうしたの?」と声をかけた。困ったことがあるのではないか?
そう思ったからだ。その問いかけに。

彼女は口をモゴモゴさせ声を出す。

だが何を言っているのか聞き取れない。
彼女の表情の中に険しさが見えた。
そのため再度尋ねることをしなかった。

自転車を走らせながら。少しばかり振り返る。

やはり彼女はじっと立ちすくんだままだ。
どうも考えがまとまらない。
ひょっとして誰かを待っているのだろうか?

繰返し「彼女の映像」が頭の中を駆け巡る。
そうするうちに映像が焼き付いて頭から離れない。
変わった光景に出会ったその時のように。

彼女は「今日もまだ立っている。」





スケッチ~不思議な光景
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近頃は夜な夜な。
2時間ばかりの散歩をしている。
(夜な夜な・・・どうして悪いimageがあるんだろ?w)

というのも以前に比べ体重が増え。
更に運動不足を痛感していることもあり。
改めてダイエットを決意したのだ!
(何度めですか?@@;)

今の季節の夜の散歩はいい。
涼しい風が吹いてブラブラ歩くのには。
ちょうどいい按配だ。

散歩コースはだいたい決まっており。
およそ4km先の目的地にゴールしてから。
Uターンして家に帰るというパターン。

途中。国道沿いを歩く。
国道沿いには様々な会社・店舗が並んでいる。
中でも多いのが自動社会社だ。

日本のメーカーがほぼ揃っている。
トヨタ・ホンダ・三菱・スズキ・日産・ヒノ。もうちょっと。
足を伸ばせばマツダ・スバルがある。

その間を縫うように点在するのが。
吉野屋・すき家・CoCo壱番屋・マックなどの。
ファースト・フード店。そして居酒屋・パチンコ店などで。
あの「ドン・キホーテ」もデ~ンと構えているw
(熊出没注意ラーメン。未だ絶賛?販売中^^;)

こんな国道沿いの中で。
何とも奇妙なというか不思議な光景がある。
(もっともこれは見方・考え方の問題だけれども)
その光景を正面から見るとはこうなる。

カラオケ倶楽部-墓石店-ゲームセンター


二つの娯楽施設の狭間に。
埋没するように墓石店があるという。
ある意味とてもcynicalな光景。

カラオケ倶楽部はネオンチカチカで。
ゲームセンターの入り口は。
大きなコブラの口を象っていてハデハデ。

その間にポツンと立つ墓石店。

どんなに楽しい・素晴らしい人生でも。
人生は夢幻の如く過ぎ去り。
やがて人はみな墓に入らねばならない。

そんな暗示をしているように見える。

この偶然の配置に。
気付いている人はいるのだろうか?
いるとしたらよほどの暇人か。
夢想家・皮肉屋だろう。

何れにしろ自分はその部類に入る。
だってこの道を通る時に。
思わずニヤリとする人間なんて。

そうそういないだろうw





スケッチ~白い袋
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自転車にのって~わら半紙・黒鉛筆




鉛色の空を見上げれば。
風に吹かれ。
高く舞い上がる白いレジ袋。

袋はパラシュートのように。
内部に入った風で。
パンパンに膨らんでいる。

その様を見た瞬間。
「美しいものに出会った」気がして。
オレは動けなくなる。

そうするうちに袋は風の助けを失い。
目の前に降りてくる。そして地面に落ちて。
ふわりとふわりと右に転がってゆく。

再び風が袋を煽る。

袋は軽く右へ向かって。浮き上がるが。
すぐに降下し白い蛇の軌跡のように地面を這う。

袋は縁石に当たり動きを止める。

そして飛びたい気持ちが。
まだあるかのように。
パタパタとその「体」を揺らす。

オレは視線をそらし。
再び鉛色の空を見上げながら。
袋に背中を向ける。



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「美しい」ものは。
どこにでも転がっているもので。
観察の仕方次第で。
「汚いモノ」でも「美しいモノ」に見える時があります。

例えば。

空中に浮かんでいる「ホコリ」
これに光が当たると。
キラキラ輝いてとても綺麗なんですね。

他にも。

お婆さんの鉛筆書きのメモ(広告の裏に書かれたモノ)
無人駅の壁にあった「小夜 必ず迎えに行くから」の白い文字。
桜の花びらが光に当たってキラキラ輝いていたこと。
外灯に照らされて妖しく銀色に光る三匹の仔猫たち。
これらが本当に綺麗・美しかったのです。

もちろん。

「ホコリ」や「ラクガキ」「桜の花びら」に価値はありません。
そしてこれらを「美しく感じる」ことができなくても何ら問題ありません。
ただ自分はそんな事ばかりを考えて生きてきました。

要するにカネにならないことばかり。
延々と考えていたという・・・
だから世間とズレてもしょうがないんだなと。

思う今日この頃なのです^^;)




スケッチ~やさしい半月
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夜半。

外に出てみれば。
ひんやりした空気と。
澄んだ虫の音。

辺りの家の明かりは。
すべて消え。
アパート下の。
青白い自動販売機の明かりだけが。
寂しく点る。

雲間には。
赤味を帯びた半月が浮かび。
半月は少し膨らんで。
母親の笑顔のように。
やわらかく。
周囲を照らしている。

その半月の光を浴び。
小さな。
千切れ雲が流れる。

傍らの大きな雲から。
急ぎ足で。
離れて行くその様は。
父親に勘当され。
家を飛び出す放蕩息子のようだ。

鉄道沿いの細い道を歩けば。
外灯の下に。
鉄柵作りのゴミステーションがある。

昔の話。

星のきれいな夜に。
このゴミステーションの上に。
痩せた三匹の仔猫がいた。

仔猫たちの体は。
ぼんやりと。
銀色に光っており。

それは青白い外灯の。
明かりのせいで。
灰色が銀色に。
見えただけのことだったが。

警戒しながらも。
しなやかに動き廻る銀色の肢体は。
まるで幻を見るように。
美しかった。

そのことがあった或る朝。
我が家の玄関先に。
一匹の猫が死んでいた。

痩せた灰色の仔猫だった。

すぐに。
あの夜の猫だと察知したが。
寄りに寄って。
我が家の前で死ぬということに。
何かしら。
不思議な縁を感じた。

はたして仔猫は。
あの夜の目撃者が誰であるかを。
知っていたのだろうか?

今でも。
ゴミステーションの周りは。
ぼんやりと。
銀色に光っている。