お話~ツンツン・プヨプヨ
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鶏舎小屋がある。

その中に大きな鶏がいる。
トサカを立て。大きく胸を膨らませ。
仲間の鶏に向かって言う。

「オレは強い!オレに敵う奴など。どこにもいない!」

他の鶏は恐れる反面。
心の中では馬鹿にしている。

「世界中で一番強いってことがあるもんか!
 イタチが時々やってくるけど。
 その時はビクビクしているくせに!」

「なんか言ったか?」

大きな鶏はジロリと他の鶏を睨みつける。
「いえいえ.。何も申しません」
こんなバカを相手に怪我でもしたら大変だ。

鶏たちは端の方へ逃げて行く。

「おじさん。強いの?」
大きな鶏の足元で。そう言ったのは生まれて間もないヒヨコ。
「そうだ!」

大きな鶏は自分の威厳を示すように。
鶏舎小屋の金網に向かって嘴を力強く突き立てる。
金網は簡単に。ぐにゃりと。捩れてしまう。

「どうだ?こんな金網を潰すなど。オレにとっちゃ。 朝飯前だ!」
ヒヨコはキョトンとしている。

そこへイタチがやってくる。金網越しから大きな鶏に言う。
「へへへ。 なにぶん近頃。 食糧不足でね。
 元気で活きのいい鶏さんを頂きにまいりやしたw」

大きな鶏は。これはしまった!
まずいところを見られた。そう思う。
イタチに敵うはずがないのはよく知っている。

「あいたたた。
 どうやら今ので嘴が折れたようだ。
 オレも年を取ったな。
 それに最近。おなかの調子が。
 悪くて悪くて。あ~。トイレトイレ」

急いで鶏舎小屋の奥に隠れてしまう。

イタチは。それを見て。ヘラヘラ笑う。
「意気地のない奴だ。おい。ヒヨコ。お前を食うが覚悟はいいな?」
イタチは金網下の地面を掘って鶏舎小屋に入る。

ヒヨコはイタチを初めて見る。
だから自分がどうされるかわからない。
「一緒に遊ぶの?」

「そうだよ。オレの胃袋に入るんだ。
 オレの胃袋には。おもちゃが一杯あってな。
 そりゃ~。楽しいぞ!へへへ」

「わ~い。入れて入れて。おじさんの胃袋に入れて!」

それを聞いていたのは。
同じ時期に産まれたたくさんのヒヨコたち。
「ぼくも入れて!」「わたしも入れて!」

わいわい言いながら集まって。
イタチのまわりはヒヨコだらけになる。

イタチはヒヨコの数が多過ぎて噛む暇がない。
片っぱしからパクリパクリと飲み込む。
そうしてヒヨコたちは一匹残らずイタチの胃袋に入る。

「こりゃ。食い過ぎちまったなぁ。胃袋が重過ぎて動けない・・・」

イタチは思わず。ごろんと。寝転んでしまう。
ヒヨコたちはギュウギュウ詰めで胃袋の中に居る。
「おもちゃはどこかな?真っ暗で見えないぞ」

一匹のヒヨコが嘴で胃袋を突く。
突くと。プヨプヨして。なんだか。おもしろい。
他のヒヨコも真似をして突く。

ツンツン・プヨプヨ
ツンツン・プヨプヨ

「おもしろいぞぅ。きっとこれが。おもちゃなんだな!」

ツンツン・プヨプヨ
ツンツン・プヨプヨ

突けば突くほど。楽しくなる。

ツンツン・プヨプヨ
ツンツン・プヨプヨ

どんどん突く。どんどん突く。どんどん突く。

するとビリビリ!パーン!

大きな音とともにヒヨコたちの目の前が明るくなる。
明るい方を覗いてみると。
親鶏たちが呆れた顔をして立っている。

ヒヨコたちはイタチのお腹から。ぴょんぴょん飛び出てくる。

「おじさん。おもちゃ。楽しかったよ!また一緒に遊ぼうね!」
「え?おもちゃ?」
寝ていたイタチは。お腹を押さえる。

お腹は破れた風船のよう。
イタチは立ちあがり。バツの悪そうな顔をして。
鶏舎小屋から出て行く。

そして。お腹の穴を覗いて。
「おかしいなぁ。おもちゃなんて。どこにもないけどなぁ?」
おかしいぞぅ。おかしいぞぅ。

と首をひねりながら家へ帰って行く。






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Welcoming cat・1-4(LAST)
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ラーメン屋「ひまわり」の前にクルマが止まる。
「すみませ~ん。○○新聞の者ですが」
カメラ等の取材道具を抱えて二人の記者が入って行く。

さて。場面変わって「ひまわり」の屋根瓦。
そこに黒と白。
寝転んで話し合う二匹の猫がいる。

黒猫「どうだったね。今回の招き猫役は?」
白猫「師匠。招き猫は辛いです。ずっと片手あげてるから肩が凝って」
黒猫「妖(あやかし)のくせに肩が凝るとはな。で。青年役は?」

白猫「初めて人間になったんですが。案外と面白かったです」
黒猫「ほお。面白かったか。人間をこなすのは難しい。あれほど複雑な生き物はおらん」
白猫「はい。招き猫に比べたら楽しいです。いろんな表情ができるし肩が凝らないし」

黒猫「余程。肩凝りが堪えたようだな。でも人間が楽しいと言った弟子はお前が初めてだよ」
白猫「え?ほんとですか。なんだか照れちゃいますね」
黒猫「お前に妖としての才能があるから楽しめたんだろう。オレは相変わらず苦手だがな」

白猫「師匠にも苦手なものがあるんですね。ところで女の子と蝶々はどうやって?」
黒猫「ああ。あれか。なんてことはない。紙切れだ。紙切れを変化(へんげ)させたんだ」
白猫「あ。それまだ習ってないです。どうやって調達したんだろうって不思議でした」

黒猫「まぁ。ともあれ。これで店も多少は客が来るようになるはずだ」
白猫「さっき店の前にクルマの止まる音がしました」
黒猫「お前さんが連絡した新聞社の記者だろうが。そのうちテレビ局もやってくるぞ」

白猫「そりゃ。あんな蝶々いませんもん。見たい人がたくさんいるでしょうね」
黒猫「見学に全国からやってくる。そうするとラーメンでも食べて帰るかってことになる」
白猫「もともとラーメンは美味いって話でした。主人もさぞ嬉しいでしょう」

黒猫「人間は自分が作ったものを人から褒められると。ついつい笑顔になるんだ」
白猫「あの人。不愛想ですもんね。足らなかったのは笑顔」
黒猫「そうだ。人間ってのは不思議なもので。笑顔の人を信用してしまう習性がある」

白猫「ラーメンが美味くて信用できる主人がいるってことになりますね」
黒猫「それが信頼関係に繋がって。また店を利用しようと自然に思うようになる」
白猫「良い循環。それを繰り返すことで。ますます人気が出ると・・・」

そう言いながら暖かい日を浴びて。
二匹の猫は眠そうな顔になる。



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というわけで終了です。

あっけないというか。なんだか予定調和みたいな結末でしたね。
貧弱な発想っす。惨敗気分です・・・・orz
まぁ。全くストーリーを考えずに書く作業は大概こうなります。
(一度書いたら訂正効かず引くに引けない)

むかし。今回のような書き方で「赤猫亭」というお話を作りました。
あれも途中から「おい。ど~すんだよ」と自分を疑いながら。なんとか書き終えました。
だったらなんでこういう書き方をするんだよ?

つまり事前に細かく設定するのが苦手なんです。
もともと。お話を作るのヘタなので。こうでしか書けないのです^^;
(時々は自分を困らせてやるのも脳内活性に良いかと?)




Welcoming cat・1-3
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「お客さ~ん!店ん中で走り回っちゃ困りますよ!」
鬼介は慌てて青年へ声をかける。
青年は大きな声にハッとして立ち止まる。

「すみません。珍しい蝶だったので。ついつい・・・」

頭を掻き掻き鬼介に謝る。
その間。ギフチョウはスーっと上がって天井に止まる。
そこで鬼介がホッとしたような顔を見せ。

「え~っとお爺さんは・・・」
振り返ると女の子と黒服のお爺さんがいない。
「おかしいな。帰ったのか・・・う~む」

仕方がないなと思いながら青年に尋ねる。

「で。ご注文の品は?」
「あ。そうですね。ラーメン+焼き飯でお願いします」
「はい。ちょっと待っててくださいよ」

鬼介は調理場に入る。
青年はカウンターに腰かけ天井のギフチョウを見る。
するとハネが小さく震え。おかしな変化を起こす。

「あれれ。色が変わってきたぞ。それにだんだん大きくなっている!」

その突拍子な声に調理場の鬼介が思わず。
カウンター内から顔を出し天井へ目を向ける。
「あ~!ありゃなんだよ!」

ギフチョウのハネが虹色に変わっていく。しかも3倍以上になっている。

青年が急いで携帯を取り出し耳に当てる。
「もしもし○○新聞社さんですか?今ラーメン屋で凄いことが起きてます」
なので是非。記者を寄越してくださいと依頼する。

「え?記者さんが来るの?」鬼介が青年に尋ねる。
ところが「あれ?」青年の姿が煙のように消えている。
「おいおい!ラーメンど~すんだよ!」

鬼介はカンカンに怒る。無理もない。
三人が知らないうちに訳もなく消えたのだから。
「いったいどうなってんだ!この店は!」



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最終回のつもりでしたが。
明日の見えないスクラップギャグ風のお話なので長くなりました。
次回は最終回にしたい・・・つもり^^;




Welcoming cat・1-2
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しばらくしてラーメン屋「ひまわり」の玄関が開く。
「ごめんください」
金色の口髭・あご髭をたくわえた背の高い老人が入ってくる。

静かに微笑む顔。黒縁メガネと黒いスーツ姿。
鬼介は来客への言葉を忘れ呆けたように突っ立ったている。
「そこのお嬢ちゃんは何故泣いてるんだね?」

老人は鬼介に向かって小首をかしげる。

「あ・・・。あの。その。この子が店の前で急に泣き出して・・・」
鬼介は泣いている女の子のそばで頭を搔く。
「やれやれ。それは困ったことですね。さてどうしましょうか?」

老人はすぐ側の席に座って女の子に向き合う。

女の子は老人の顔を見る。
心のなかで叫ぶ。「あ。ケンタッキーのおじさんだ!」
フライドチキンの看板を思い出す。

「ご主人。コップ一杯の水を頂戴できるかね?」

鬼介がお盆にコップを乗せ老人の目の前に置く。
「はい。ありがとう。これで準備完了です」
老人はそう言いながらコップの上に白いハンカチを被せる。

「お嬢ちゃん。これを見てごらん」

老人はタネも仕掛けもありませんとよと言いながら。
ゆっくり手のひらを見せる。
女の子はしゃくり声をあげながら言葉に従う。

鬼介が尋ねる。「で。いったい。何が起こるんですかい?」

ちょうどその時。一人客のが入ってくる。
白い帽子を被り白いワイシャツ姿の若い男性だ。
鬼介はそれに気付かない。

目の前で起こることかしか頭にない。

「では。いきますよ!」老人がサッとハンカチをとる。
「あっ!」女の子と鬼介が奇声をあげる。それも無理はない。
コップの中から見知らぬ蝶が飛び出した。

離れた席に座っている白いワイシャツの若い男が叫ぶ。

「おお!ギフチョウじゃないか!」
翅(はね)を拡げた大きさは7cmぐらいで黄白色と黒の縦じま模様。
後翅の外側に青や橙・赤色の斑紋が並んでいる。

若い男は昆虫採集家らしく。手に採集用の網を持っている。

「こんなところでギフチョウを見られるとは!なんてラッキーなんだ!」
一人はしゃいで網を持ってギフチョウを追いかける。
ギフチョウは男をあざ笑うように素早く身をかわしあらぬ方向へ逃げていく。






Welcoming cat・1-1
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人通りの少ない路地に入ると。
小さなラーメン屋がある。
黄色いノレンには「ひまわりラーメン」
と書いてある。

玄関の左右にガラスケースがあり。
それぞれ招き猫が置いてある。
右には右手を上げた白猫(人を招く)
左には左手を上げた黒猫(金を招く)

店の主人の友人が開店初日に贈ってくれたもので。
商売繁盛の願いが込められていた。
主人は腕に相当な自信はあったが客は少ない。

「鬼介さん。あんたに愛想がないからだよ。
笑顔。笑顔だよ」
招き猫をくれた友人は笑いながら忠告した。

「へ!愛想笑いができるもんか!」

主人の鬼介は内心そう思っているが。
客がいないでは商売にならないから客が来る度に。
「いらっしゃいませ!」

自分なりに目いっぱいの笑顔を作ってみる。

ところが元来。鬼介の顔は名前の通り。
鬼瓦のようで笑っても泣いても怒ったような顔になる。
おまけに怒ったような口のきき方だ。

だから客は居心地が悪くなり。
食べるとすぐに店を出てしまう。
同じ客が来た事は一度もない。

「親父がこんな顔だったからなぁ。
 生まれつきじゃ。しょうがない」
鏡を見る度に鬼介はため息をつく。
そして最後に決まって。

「客が来ないのはコイツラの働きが悪いせいだ!」
と二匹の招き猫のせいにする。
招き猫はいつもそれを聞いているから不満でしょうがない。

ノレンが下げられると二匹は小さな声で語り合う。

右猫
「いくら人を招いても。主人の顔を見て逃げるんだもの」

左猫
「困るよね。このままじゃ。ぼくたちの立場がない」

どうしたら。お店を繁盛させることができるかと。
二匹は夜も寝ないで考えた。

ある日。

開店前の店の前にランドセルを。
背負った女の子が現れる。見たところ小学3年生。
「ねぇねぇ。ちょっとちょっと」

そう言って鬼介の腕を掴む。
突然のことに鬼介は。うむ!と唸って。
「なんだ!手を離せ!」

思わず女の子を怒鳴りつける。
その怒声に女の子は泣き出してしまう。

「あ。いや。そんなつもりじゃ・・・。
ごめんごめん。おいおい。困ったなぁ」
鬼介は謝ったが。

女の子は泣くのをやめない。

鬼介はどうしたものかと。
腕を組んで唸るばかり。若い頃から。
女は苦手で通っている。

「女は直ぐに泣くから嫌なんだよなぁ。
おいおい。どうしたら。
泣くのをやめてくれるんだ?」