アルクカメラ~しがみつく
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むかしね。ある人がこう言ったのよ。
「ヒトは何かに狂わなければ生きていけないんじゃないか?」と。

もちろんこの人の「狂わなければ」の真意は。
単純なものではありませんけれど。
それを「しがみつかなければ」と考えれば。なるほどね。とも思うわけですね。

たとえば1本の巨木が雄々しくたっている。
それは大地に根を降ろして。
しがみついていればこそ成り立つ構図なわけですね。

それでもね。
自分は浮き草のような人生にあこがれるわけです。
空を漂う雲にあこがれるわけです。
(ああ。あこがれとも違うかなぁ)

何故そう思うようになったのかというと。
自分は絵画創作を終えた45歳で人生が終ったと思っていて。
以降の生き方・visionをどうしても描けなかったわけです。

なので45歳以降は流れるに任せているんですよ。
いつ死んでもいいし。悔いがまったくない。
大きかった雲はやがて霧散霧消していきます。

それと同じと考えているんです。




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アルクカメラ~木のある風景
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近隣の銀行へ行く途中に大きな「イブキ」がある。
初めてこの木を見た際「安藤広重・東海道五十三次」の浮世絵を連想した。
(野暮になるので広重の作品は並べない)

沿道から見下ろすように写真を撮っていると。
木の下で庭の手入れをしていた麦わら帽子の老人から声をかけられる。
「こっちへきて撮っちゃったらええ」

その言葉に誘われ沿道から少し低くなった敷地へ下る。
敷地はさほど広くない。母屋傍に藤棚を誂えた庭園がある。
老人のそばに立つと思わず声が出た。

「明るいですね!」

このツイと出た言葉は日の光を指したものではない。
心と肌で感じる「磁場」のことだ。
身体が廻りの空気を全て吸い込むように仰向けとなる。

言葉にならない心地よさが体を覆う。

樹齢を尋ねれば「さぁ。100年ぐらいかな」とのことで。
毎年1回自ら手入れされるとか。
「だんだん背が高向なるし危ないけどねぇ」と苦笑される。

大きい木は見応えがある。
何より人格のようなものを覚えるから不思議。
歳月を経るということは。

神が宿っていく過程なのかもしれない。






アルクカメラ~昼月
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顔をあげると天空に月がある。
白い半月は夜に置いてけぼりを食わされて。
戸惑っているように見える。

大根の輪切りを切り損ねたような月。
台湾の空で亡くなった向田邦子が喩えたのは。
こんな薄ぼんやりした昼月だったのか。

昼に月を見つける都度。
彼女の絶妙な言い回しの見事さを思い出し。
心は懐かしい時間を訪ねている。


愛は花 君はその種 /ヤスミン・山下

アルクカメラ~古い扉
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あるところに一対の古い扉がありました。

扉は昔とても酷い目にあったので。
以来すっかり世の中が怖くなり。じっと身構えて。
誰も中に入れようとしなかったのでした。

長い長い気の遠くなるような時間の中で。
赤錆びだらけになり。すっかり開かなくなっていたのですが。
扉はそのことに少しも気づいていませんでした。

誰も入れようとしませんでしたし。
通りすがりの人にさえ話をしてきませんでしたから。
それも仕方がないことだったのでしょう。

扉はもう扉であることを諦めてしまったのかもしれません。



冨田麗香 / 悲しくてやりきれない (ザ・フォーク・クルセダーズ cover)

アルクカメラ~ああ。絵がそこにある。
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例えばある風景を見て。
ああ。これは絵になるな。と思うようになったのは。
いつからだろう?

ホントに絵に目覚めたのが30歳中頃で。
もちろん。それまで絵は描いていたのだが。それは自分の絵じゃなかった。
誰かの真似。つまり他人の目線で絵を描いていた。

それがいろいろあって。ある日。絵がわかったと思える瞬間がやってきた。
どんなふうにしてとか。まったく説明できないのだけど。
頭の中の回線がうまく繋がるようになった。スムーズになったというべきか?

その時はとても嬉しかった。長年の悩みとしていたものが。
具体的に理解できるようになったから。
なにせ独学だ。そこに至るまでに途轍もなく長い時間がかかった。

もっとも今は絵を描かないので。この「回線」もあまり必要としていない。
必要としていないが。ソノモノを見た瞬間。思わず回線に電気が走る。
その電気が走った瞬間の映像が上記の写真だ。

考えればマニアックな話。こんな何気ない風景に電気が走るなんて。
いったい自分の目はイカレテイルンダろうか?
でも家の黒ずんだ様子といい。電線の位置といい。やっぱり電気が走るんだ。

「おかしな目の病気」を持ったものだ(お陰でどこにいても退屈しないw)