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アルクカメラ~季節を観る
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拡大すると抽象画にも思われ?



ボクは柿葉で季節を実感する。

桜咲く時期は本当の春ではない。
まだ冬の痛みを引き摺っており。
どこかしら一抹の寂しさが漂っている。

春は柿葉の誕生から始まる。

冬枯れた柿木は春となり。
柔らかい嬰児のように産まれた若葉へ。
大地と陽に授乳させ逞しさを増す。

葉が青々しくなる頃は。
夏へ移行し自慢の青い果実を実らせる。
その涼し気な光景!

果実が黄色みを帯びる際には。
葉は既に壮年となり。
分厚く強面の面構えとなっている。

柿の実を摘み取れば。
葉は次第に心の内を明かすように。
多様な色彩を帯び始める。

それまでの辛さ・楽しさ・哀しさ。
様々な想いが色となって詰め込まれ。
冷めた宙にサラリと散っていく。

柿葉は季節を観る対象だ。
柿木を見つける都度に季節の変化を知る。
ボクはいつもそう考えて。

見て飽きることがない。


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※冒頭の写真は激安デジタルカメラで撮影^^;
たぶん3年ぐらい前の冬場に撮ったものと思われます。
カテゴリー「アルクカメラ」はずいぶん前に開始。
カメラ撮影=趣味ではありません(あくまで参考資料の扱いです)

たくさん撮っていますし・既にパソコンに入ったものもあります。
それぞれアップしても良いのですが。
写真の場合「情報量」が文章に比べ圧倒的に多いのです。
つまり語りが要らないのです(邪魔になる場合が多い)

だから困るのです^^;

ワタシのブログはあくまでも文章系ブログ。
文章を書く実験場なのです。
なので記事に置く冒頭の「写真」はアクセントに過ぎませんし。
全体のimageが表せればそれでいいのです。
(例えば着物の柄はかなりimageを触発させてくれます)

「アルクカメラ」は散々「アルク」を書いた結果。
ついに飽きてしまい・その代わりとして導き出したカテゴリーです。
(アルクは移り変わる風景描写と心理描写を合わせた文体です)
こうして不本意ながらも存在することになってしまった「アルクカメラ」

箸休め程度に継続するのもいいか?ぐらいの扱いです・嗚呼^^;




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植村眞久海軍大尉・遺書
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植村眞久海軍大尉・遺書


素子へ

素子は私の顔をよく見て笑いましたよ。
私の腕の中で眠りもしたし、
またお風呂に入ったこともありました。

素子が大きくなって私のことが知りたい時は、
お前のお母さん、佳代叔母様に
私のことをよくお聞きなさい。

私の写真帳も お前のために家に残してあります。
素子という名前は私がつけたのです。
素直な、心の優しい、思いやりの深い人に
なるようにと思って、お父様が考えたのです。

私はお前が大きくなって、立派なお嫁さんになって、
幸せになったのを見届けたいのですが、
もしお前が私を見知らぬまま死んでしまっても、
けっして悲しんではなりません。

お前が大きくなって、父に会いたいときは
九段にいらっしゃい。
そして心に深く念ずれば必ずお父様のお顔が
お前の心の中に浮かびますよ。

父はお前が幸福者と思います。
生まれながらにして父に生き写しだし、
他の人々も素子ちゃんをみると
眞久さんにあっている様な気がすると
よく申されていた。

またお前の伯父様、叔母様は、
お前を唯一の希望にしてお前を可愛がって下さるし、
お母さんもまた、御自分の全生涯をかけて、
ただただ素子の幸福をのみ
念じて生き抜いて下さるのです。

必ず私に万一のことがあっても
親無し児などと思ってはなりません。
父は常に素子の身辺を護っております。
優しくて人に可愛がられる人になって下さい。

お前が大きくなって
私のことを考え始めたときに、
この便りを読んで貰いなさい。

昭和十九年○月某日 父
植村素子へ

追伸
素子が生まれた時
おもちゃにしていた人形は、お父さんが頂いて
自分の飛行機にお守りにして居ります。
だから素子はお父さんと一緒にいたわけです。
素子が知らずにいると困りますから
教えて上げます。


植村眞久(うえむらなおひさ)海軍大尉。
昭和19年10月26日・神風(しんぷう)特別攻撃隊大和隊・享年25歳。


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ついぞ・私は結婚もせず・子供も授かることがなかったのです。
故人のように誰かを見守るとか・誰かに伝え残すなどできません。
私は私のために生き・私は私の為に死ぬしかできません。

「多少の障害」はあるものの。
自由に行動し・自由に発信できる現在の環境に感謝するばかりです。





脳舞台~源平壇ノ浦・那須与一が事
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那須与一・渡辺美術館蔵


設定・壇ノ浦にて源平相争う・その間に平家側から扇を的に・射落とすことを促される。
時間設定・夕暮れ・海の紅く染まる刻(とき)。
登場人物・源義経・那須十郎・那須与一・平家女官。


おもむろに女官が立ち上がり・手には赤丸描いた金扇を持ち。
ひらひらと手招きするような仕草を見せる。
金扇を矢にて射抜いて見よという源氏側への挑発である。

「おのれ!舐めおって・誰ぞ豪の者はおらぬか!」

義経は平家側の挑発を受け叫ぶように言い放った。
周囲の者・誰一人義経と顔を会わせるものなく下を向くばかりであった。
その間を割るように現れたのが馬上の那須与一であった。
傍に居る兄・十郎に向かい小声で言う。

「拙者に賜れば・見事的を射落しましょう」

与一は痩身の男である。
然しながら・頼もしく自信に満ち溢れた表情で十郎を見つめる。
十郎は深く頷き・義経に申し出る。
日頃・与一の修練に感服していたからである。

「これ我が弟ながら・日ノ本一の弓取りにて・推挙申し上げまする!」

義経はほくそ笑み・大きく頷き与一に命を与える。
「あの生意気な女官の持つ扇・見事・射抜いてみよ!」
むろん・与一は知っている。
しくじれば末代までの恥辱であることを。
そして己が命を断つべきことを。

馬上の与一がつかつかと前に出て砂浜に立つ。
涼やかな風が与一の頬を撫でる。
源平何れもヤンヤの喝采・与一の一挙手一投足を眺める。

与一が彼方の金扇を眺むれば。
金扇は槍に括られ・船首の先に突き立てられている。
その傍に女官が立っている。
白い衣装・黒髪風に吹かれ・花のような美女である。

与一は女官に目が移った己を恥じる。
今・脳裏に浮かべる事柄ではない・一旦目を瞑り・心を鎮める。
「南無観音八幡大菩薩」を繰返し・的中必至を祈願する。

「与一!射て!」義経が怒号をあげる。

与一・カッと目を見開き・ギュンと弓を張り・矢を放つ。
瞬間・手元の狂いが生じたことを覚えた。
顔を下に向け・小柄に手をかける。
長年の修練からすれば・的を外すこと必定である。

「兄上・これにて・ご免あれ」小柄を抜き・首筋に充てようとした時である。

義経が大音声で言い放つ「天晴れなるかな!与一!見事である!」
その声と同時に源平どちらからも・大歓声が湧き上がる。
与一・彼方を見上げれば・槍に括った金扇は射落され・ゆらゆらと海上に浮かぶ。
「何故だ!」与一は心の中で叫ぶ。

腕に覚えがあればこそ・あり得ない光景である。

与一は繁々と彼方を眺める。
船首に突き立っていた槍が斜めに倒れている。
おかしいと思ったのは与一である。
金扇を射落していれば・槍が斜めになるはずがない。
傍らに先ほどの女官が立っている。
幾分か頬が紅潮し・じっと与一の方を見つめている。

「あの女人・まさか・・・」

与一は頬赤らめ女官を見つめる・しばし刻(とき)の止まる壇ノ浦であった。


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※「平家物語」の那須与一による「扇の的」の件は。
讃岐の国・屋島・「屋島の戦い」(平家屋島側VS源氏讃岐側)
での出来事だとされています。
従って最終決戦地である「壇ノ浦」とは関係ありません。

「扇の的」の舞台を「壇ノ浦」に持ってきたのは。
平家全滅のimageとして扱ったためです。
(誤解のないようにお願いします^^;)
金扇(平家=金地に赤丸・源氏=白地に赤丸)が射落されるのも同様の扱いです。
資料などによると白地に赤丸であったりしますが。
ここでは金地に赤丸としております。

つまり・平家全滅のimageを重ねているわけです。

ラストの女官と与一が見つめ合うシーン。
作品の発想はここから始まっています。
つまりラストシーンありきから遡り・膨らませ創作したのです。
流れとしては刹那の恋物語でしょうか?
(ワタシはミーハーなのでしょう^^;)





六四天安門事件・1989・06・04
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天安門事件・1989・06・04


・六四天安門事件1989年6月4日に同年4月の胡耀邦元党総書記(民主化)の死をきっかけとして・中華人民共和国・北京市にある天安門広場に民主化を求めて集結していた学生を中心とした一般市民のデモ隊に対し・中国人民解放軍が武力で鎮圧・多数の死傷者を出した(Wikipediaより・現在Wikipediaとしては見ることができません・関連資料は多々あります・胡耀邦氏は民主化の先導役でしたが・保守派には勝てず・失脚します)故・胡耀邦氏の後継者足る人物らも学生らに引き戻るよう説得しましたが・学生らのうねりは止まず・ついに激した保守派が人民解放軍を送り・銃殺・戦車でひき殺すなど・残虐の限りを尽くします。

・BBCに寄れば戦車が死体の上を幾度も踏み潰し「ミートパイ」にしたと伝えています・更に・ミートパイにした挙句・水を放射し・道路を洗い流したようです(そこには人間としての尊厳も何もありません)・因みに・この事件により・国際的に中華人民共和国は孤立しますが・助け船を出した国があります・それが日本です・自民党に「小沢一郎」がいた時代です・この小沢一郎が無理やり行事日程を変更させ・天皇陛下(現上皇陛下)を彼の地に赴かせます・陛下が行かれたことで・中華は国際的に孤立から脱することができます・(小沢はその後も民主党・鳩山内閣の際に天皇陛下を政治利用しています・天皇陛下は立場として政治的発言・行動をされません・その心の内・如何ばかりかと思います)

あれから30年・民主化を願い・亡くなった方々に弔意を表します。




ガラス玉
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ガラス玉は。
ころころ転がって。
森の中へ行く。

するとそこには。
昔堅気の。
職人ふうの老人がいる。

老人は。
ガラス玉を手に取る。

やあ。これは可哀想に。
傷だらけで。
ずいぶん痛んでいるじゃないか。
地中に埋めてやろう。
そうすれば。
きっと良くなるから。

そうしてガラス玉は。
黒々とした土の。
深さ30cmばかりの。
穴の中に置かれ。
そっと。
土をかけられる。

やがて。

ガラス玉は。
深い深い眠りに付く。
だって。
穴の中は真っ暗で。
話し相手がいなかったから。
眠るしかない。

夢を見る。

夢の中に。
太陽や月が出て来る。

彼らの光が。
自分自身に当たって。
びくりするぐらい。
光り輝く。

ああ。

自分はなんて美しいのだろう!
この輝きは誰にもない。
世界中で。
自分だけが特別だ!!

そうして。

ガラス玉は。
夢であることも忘れ。
暗い暗い穴の中で。
微笑む。

そうすると。
痛んでいた自分の体が。
ピカピカした元通りの体に。
戻って。
行くように感じる。

あ。冷たい!

ガラス玉が。
その冷たさに驚いて。
目を覚ますまで。
いったいどれだけの時間が。
経っていたのだろう?

冷たい水。

地上で雨が。
降っているのだ。

ガラス玉は。
夢のことを思い出し。
そうだ。
この美しい姿・形の自分を。
皆に見てもらおう。
だって。
勿体ないじゃないか?
そう考える。

ここから出してくれ!!
美しいガラス玉が。
ここにいるよ!!
誰かいたら返事をして!!

何度も叫ぶ。

ところが。
いくら待っても返事はない。
だって暗い暗い穴の中だ。
声は地上に届かない。

やがて声も枯れ。
悲しくなり。
草臥れて。
長い長い眠りにつく。

今度の眠りに夢はない。
ただひたすら。
長い長い時間が過ぎる。

再びガラス玉が。
地上の光を浴びたのは。
ガラス玉が。
ガラス玉であることを。
忘れるぐらいに。
時間が経ってからのこと。

老人が手のひらに。
ガラス玉を乗せている。

ガラス玉は以前のことを。
すっかり忘れている。
そして。
生まれたての。
赤ん坊がそうであるように。
光に満ちている。

さぁ。
すっかりよくなった。
森の外へ出て行き。
いろんな場所で。
いろんな経験をしてきなさい。

老人はそう言って。
森の外へ向けて。
ガラス玉を転がす。

ころころ。
ころころ。

ガラス玉は。
道を確かめるように。
ゆっくり。
ゆっくり転がる。

やがて。
森の外が見えてくる。
かつて。
自分がいた世界。

しかし。
ガラス玉には。
一片の記憶もない。
何もかもが。
初めて見る世界だ。

「この世界には。
 何があるのだろう?」

不思議そうに。
そう呟くと。
更に速度を上げ。
跳ねるように。

「見知らぬ世界」へ。
転がって行く。